3 実証試験計画および運航実績
3.1 内航近代化実証船の運航形態
内航近代化実証船の輸送する貨物は鋼材製品(コイル、厚板、型鋼、大径管など)であり、内航近代化実証船は主要製鉄所のある福山港、あるいは川崎港を基点(基点港)として、千葉港、名古屋港、大阪港、広島港ならびに博多港間等を就航している。
内航近代化実証船の配船(運航スケジュール)は、製鉄所の製品生産状況によって決定されるとともに、荷役時の天候によっても左右される。(雨による濡損を避けるため、ドームを持つ基点港以外の港では、荷役作業は中止・順延される。)したがって、内航近代化実証船の運航については、不規則で、かつ時間的な制約を受ける状況となることが多くなっている。
(1) 運航員
内航近代化実証船の運航員構成は以下の通りである。
○甲板部:船長、一等航海士、甲板員
○機関部:機関長、一等機関士
計5名
(2) 当直体制
航海時における当直体制は、甲板部は船長・一等航海士・甲板員の交替であり、機関部は機関長・一等機関士による交替となっている。ただし、通常の航海時における00時から08時は、機関室MO運転としているため機関部は入直していない。
停泊中の荷役時は、原則として甲板部の当直によっている。
3.2 実証試験の基本的な考え方
3.2.1 実証試験の目的
平成8年度において建造された内航近代化実証船の実運航を通じて、装備された近代化設備の有効性を検証するとともに、技術的な課題等を整理する。また、近代化船の経済性を検証し、近代化に関する具体的な検討に資することを目的とした。
3.2.2 評価方針
実証試験の目的を踏まえ、内航近代化実証船の評価方法の基本的な方針を以下のように整理した。