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?フラップ角を与える機構が複雑なところから、故障等の心配がされているが、実績では故障の頻度が高いというわけではない。

シリング舵

?斜航や旋回による舵直圧力は、舵角による直圧力と同じ揚力特性となるから、肥大船型で舵によって針路安定性を改良する場合には有利になる。

?舵の後端に厚さがあり、また、全般に舵厚さが大きいから、舵の抵抗が大きく、航行距離の長い船の場合には推進性能上は不利になる。

 

他方、価格的には両方ともに大きな差はないと言える。

以上を総合すると、両舵に特に顕著な選択上の性能差があるとは考えにくい。強いていうと、航行距離が長いような船に対しては推進効率上、フラップ舵が有利と言え、肥大船型で針路安定性に不安があるような場合にはシリング舵の高揚力特性が魅力的であると言える。

 

(7) 内航近代化実証船に対するアクチュエータの選択

内航近代化実証船は鋼材輸送を主とする貨物船であり、その運航条件としては福山を起点として全国各地に至る航路で運用されるから、内航船としては中長距離の輸送に従事する場合が少なくない。また、最近の鋼材輸送は他の工業原料、中間製品、生鮮品輸送等で見られるように、輸送の定時性が重視される趨勢にあり、荒天時の航行性能の向上も重視すべきと考えられる。この荒天時の性能を改善するという意味では、CPPの採用が望ましい。

このような視点から、本実証試験事業では当初、ポンプジェットの実績調査が企画されていたが、CPP、バウスラスターに特殊舵を組み合わせる方式が内航近代化実証船に対しては運航目的上適切と考えられ、この方式を採用することにした。本研究の基本となる目的が標準的な内航船の省力運航時の性能であることを考慮すると、これに沿った選択と考えることが出来る。

特殊舵の選択については、中長距離の航行が多いことを考慮して、通常航行時の舵の抵抗が少ないこと、内航近代化実証船で採用した船型は十分な針路安定性を持つと考えられることから、フラップ舵を採用することにした。

 

2.2.4 居住区設備

居住区は若い船員の内航船離れに対する対策という意味もあり、その快適化が近代化の大切なポイントとされている。本事業で検討された内航近代化実証船の居住区の仕様について述べる。

 

(1) 本事業における近代化居住区

内航近代化実証船の居住区については、事業の構想、内航近代化実証船の運用と乗組員の希望等を慎重に考慮して、下記のような構想に取りまとめた。

?個室空間をゆとりあるものにするために、割り当てる面積を増加させるとともに、振動や騒音に配慮してボートデッキに配置することにし、その室仕様は可能な限り標準化する。また、内装等は陸上で

 

 

 

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