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討 論

ルーダール: 夜間、散布するときは目標を捉えるのに赤外線を使うのですか。

ルネル: いや、夜間の散布は行いませんでした。日中の作業が進みやすいように、乗組員を休ませることの方がより大事なことでした。日中ずっと連続的に散布をしなければならず、夜もその作業を続けなければならないのでは、飛行機の乗組員もストレスが溜まって仕様がないでしょう。検討はしましたが、シー・エンプレス号の場合には夜間の散布は行いませんでした。考慮すべき問題ではありますが、早めに分散処理剤を使うということと、効率よく確実に進めるということとのバランスの問題だと思います。

工藤: 漂流予測という点では人工衛星や航空機によるセンシングが使われたかどうか、これを伺いたいと思います。

ルネル: 漂流予測のモデリングと、どこへ飛ぶかということを決めるための航空機によるリモートセンシングと、その結果をリモートセンシングで確認するということが完全に統合されたものになっていました。我々が使うのは二つのツールです。

衛星の画像は当時提供されておりました。事故の2日後には来ていたと思います。しかし、衛星画像は、むしろ誤解を招くようなものだったので使いませんでした。衛星は操業時の漏出等のより小規模な流出を発見したり、監視したりするのには効果的かもしれませんが、大きな流出の場合には限られた利用価値しかないと思っています。概要はつかめるので、大規模事故の場合でも使わないということではないのですが、注意して解釈する必要があると思います。

 

 

 

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