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ネールラン: そうです、ご覧のように褐色の材料です。松の樹皮です。これは実際に長年使っております。浜辺で使うだけではなく、このように大きな石がごろごろしている所や草地で使っております。松の樹皮はしばらくそこに止まって、やがて堆肥に変わります。そして、数年経って見に行ったら、みんな緑に変わり、きれいになっていて牛がいました。もちろんその前に油はできるだけ回収しておきます。しかしこの方法自体は長年使っていて、松の樹皮は実際に備蓄もしております。

デイヴィス: 再浮流はしないのでしょうか。

ネールラン: いや、もちろんします。ただ、石の上の油分はあまり多くありません。全てはぎ取ってしまうと、たしかにやがてはまた流れ出しますが、それでも海岸から離れ出て行くときに、油が洗い流されます。漂流して戻って来て別の浜辺に打ち上げられることもありますが、我々の経験ではあまり問題になりません。

レッサード: 物理的な分散についてコメントされ、この点に興味を持っていますが、私の経験では油の種類によって非常に違います。ブレア号の場合、完全に分散しましたが、エクソン・バルディーズ号の場合には、アラスカ・ノース・スロープ原油は非常に厳しい嵐の状況下におかれたにも拘わらず物理的に分散された割合は非常に少なかったわけです。ナホトカ号の場合も同様で、6〜8mの波があったにも拘わらず800kmの海岸線を覆いつくしてしまいました。ノルウェーで何らかの調査をしておられるでしょうか、あれば大変役に立つと思いますが。この問題はドイツやオランダでも出されていて、物理的に自然に分散されてしまうから化学分散剤は必要ではない、と言われています。世界各地で様々な異なった意見があるようですが、それは原油の種類によるのだと思います。これらに関する経験を教えて下さい。

ネールラン: 多分あなたのおっしゃる通りです。私はこれに関する専門家ではなく、ルーダールさんが私よりも知っています。明日ルーダールさんの講演の時に説明があると思います。

工藤: ノルウェーの港に入る船といえども、ノルウェーの防除業者と事前の契約はいらないという説明がありました。事故を起こした船主、または海運事業者が処理費用の負担能力がある場合でも、ノルウェーの事業者に作業させるための契約をする場合に時間的な遅れが若干あるかと思います。その間待っていられないので、ノルウェー政府はただちに決断し、自分達の費用で処理に向かうことができるのでしょうか。それはもちろん後で請求されるということでしょうが、そのときに外国の船会社、あるいは船舶所有者と契約上の様々なトラブルはないのでしょうか。

ネールラン: お金を取ることは常に問題になります。ただ、シィーヴェさんから説明して頂けるかと思いますが、これは政治問題なので、今のように、まず政府が対処しなければなりません。それが変わるかどうか分かりませんが、今現在は政府がまず対応策を取るということです。

もし船が座礁した場合には、少なくとも汚染者がそこにいるのですから、その船の保険会社か船主に連絡を取ることができます。アリサン号の事故の場合には、どのくらい時間がかかったか分かりませんが、いずれにせよ船主をつかまえました。1992年の事故でしたが、昨年ようやく最後の支払いが行われたと思います。したがって、時間がかかるのはそのとおりです。これについては、シィーヴェさんからご説明が頂けるかと思います。

シィーヴェ: 我々の政府の政策ではそうなっております。もし流出が起こった場合には、国がまずただちに手を打ちます。大事なことは、すぐに対策を取るということです。他の組織に頼って、どの様な行動を取るかといったことで議論を始めたりして時間を無駄にしてはなりません。もちろん問題が後になって起こるということはありますが、まず行動します。ノルウェー海域と同様な海域でも又、同様に行うべきです。ノルウェーの海域と、米国の海域の運航形態にはかなり相違点があります。その海域にいる船の種類も違いますので、簡単には申し上げられません。

 

 

 

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