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その領土境界及び内海水域を越え、… 領海として定められている隣接海域幅にまで及ぶ」と規定している。第8条は「…領海基本線の陸地側の水域は当該国の内海の一部を構成する」と規定している。換言すれば、領海水域は沿岸国の管轄域であることを意味する。

ノルウェーにおいては、関係法規は汚染管理法に定められている。第7項には「法律で認められる場合を除き、いかなる者も汚染の危険を伴ういかなるものを保有し、行い又は始めてはならない…」という一般原則が含まれている。更に続いて「本法に違反して汚染の危険がある場合…汚染責任者は汚染の発生を防ぐための措置を講じなければならない。汚染が発生した場合、当該責任者は汚染の阻止、除去又はその影響を制限するための措置を講じなければならない」と定めている。外国籍の船舶が損傷し又は損傷の危険に曝されている場合には、先ず汚染の防止又は低減のために必要な措置を講じなければならないのは船舶の責任者である。更に当該責任者は汚染防止法に基づく規定に従いノルウェーの関係当局に対する所定の通報義務を有する。

このような状況においては、ノルウェーの関係当局は勧告及び監視の役割を担う。問題の状態は船舶の責任者との協力によって解決しなければならない。これに関連して、第7項、第4号においては「汚染管理当局は、当該責任者に対して…定められた時間内に対策措置を講ずるよう指示することができる」と定めている。しかし当該責任者がこれらの指示にかかわらず必要な措置を講じない場合には、当局は第7項、第4号に従い介入する権限を有する。この項においては、「汚染管理当局が指示し…それが当該責任者によって守られない場合、汚染管理当局は自ら対策措置を講ずることができる」と定めている。これらの対策措置は「回避し得る損害又は不快感と正当に見合うもの」でなければならない。対策措置を講ずる前に、汚染管理当局は汚染の危険及び想定される結果に対する全般的な評価を行わなければならない。

評価

汚染防止法の規定と介入に関する条約の規定との主要な相違は、介入を実施する前に満たさなければならない条件の厳しさにある。汚染防止法よりも介入に関する条約の方により厳しい条件が含まれている。「汚染の危険」の方が「重大且つ切迫した危険」及び「重大な有害結果」よりも条件は厳しくない。換言すれば、公海上より領海内の方がより早い時機に、又、より小さな事故に対しても介入できる可能性がある。これは合理的である。領海の方が海岸に接近しているので、対策措置を講ずる前に事故の展開を評価するための時間が少ししかない。同時に油による海岸の汚染及び損害の発生の可能性が高くなる。

 

討論

元良: 例えばノルウェーの石油生産業者とか、あるいはタンカー等は重大な事故を起こすかもしれないということで、例えばNOFOと防除契約を結ばなければ作業が許されないというように解釈したのですが、それが領海内を航行する外国船にも適用されるのでしょうか。

シィーヴェ: いえ、そのような義務はありません。現在ノルウェーではそのようなシステムになっておりません。政府の立場から見た場合、緊急防災システムを国家レベルで維持するための費用という意味では、これは弱点ということになるのでしょう。事故がない時にも費用を負担する人を明確にしていくことが重要になってまいります。タンカーからの流出があった場合、若しくは流出の危険があった場合、国家レベルの緊急防災システムのもとで対応が行われます。

武藤: オイルブームが1.5ktの潮流の中でも作業ができたというご説明ですが、本当でしょうか。

シィーヴェ: これは当局の要件となっております。そして、その要件は可能性があると思われることを基にしています。これに関しては、これらの要件についての責任者であるルーダールさんから、もっと詳しい説明があると思います。

ミアーンズ: 「汚染」という言葉の定義はノルウェーではどうなっているのでしょうか。合意のとれている定義はあるのでしょうか。海洋の構成物質の中で、ある特定の物質の存在は汚染と見られるのでしょうか。それともより高いレベルでの汚染に関する定義があるのでしょうか。

シィーヴェ: これは高いレベルのもので、汚染管理法の中で規定されております。ちょっと説明し難いのですが、ただ単なる汚濁以上のハイレベルの定義があります。

 

 

 

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