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他の海浜表面において有効な多くの方法も、泥土面に使用した場合には逆に環境的に有害になることがある。油の物理的な除去はその支持層及び植性に対して重大な損傷を与え、分散処理剤の使用は油を支持層中により深く浸透させ、動植物の生命に有害となることがある。できれば油が自然に分散するよう放置するのが望ましい。この種の支持層の場合には、地勢が干満によってかなり変化するので、荷重保持力及び車両支持能力にかかわる問題もある。浄化作業が必要な場合には、水圧を低くして洗い流すことで油を除去した。この種の海岸線は通常その表面が湿っており、水洗浄によって油は集油区域に浮上する。油を支持層中に押し込まないように、必ず水圧を低くして使用することが肝要である。

 

接近不可能な海浜及び入江

作業が行われた海浜、入江の多くは接近が非常に困難で、大変苦労して辿り着いた。幾つかの場所は海上からのみ接近可能であったし、別の所では人員や機材の搬入及び粗材の搬出にクレーンの使用が必要な所もあった。

 

作業の段階的縮小

作業は冬季の前に段階的に縮小され、JRCはペンブローク・ドックの可搬式小屋に移転した。財務部もそこにあるのでこれは特に好都合であり、まだ進行中の我々の要求に対する準備及び確認に役立つ。

汚染された海浜に対する定期的な監視は、問題が生じた際の対応実行班を配備して冬期も続けられた。冬季の嵐によって発生する大きなエネルギーが、まだ残存している油の汚染の自然な分解と分散を助長することが期待された。

我々は全ての海浜と海岸線の浄化作業の一部として処理された他の場所の詳細な調査を完了したところである。この調査結果によって冬期の自然浄化の程度を評価し、未だ問題の存在する地域を確認もすることができた。この情報によって、主要な観光シーズンに先だって必要な作業を確認し計画することができる。

 

学んだ教訓

JRCの作業の見直しを行うために、洗い出し訓練が昨1996年9月に行われた。これは、JRC内の個々のチーム(管理、技術、環境、マスコミ、支援、海事)が作業に関する見解を検討するために個別に会合し、その結果の報告を持ち帰るもので、極めて建設的な訓練であった。

洗い出しの目的は:

JRCの作業の強みと弱点を特定する。

教訓に留意し、将来のための勧告を行う。

事態の進展に関する完全な報告書を作成する。

この情報は国家緊急防災計画の修正及びMPCUの情報紙(科学的、技術的、作業上の勧告(STOpの覚え書き))の改訂のために使用されることになる。これは又我々自身の地域緊急防災計画の修正のためにも使用される。

 

討論

鈴木: 講演において廃棄物の処分の問題でいろいろ参考になる話がありましたが、その中で一つ、回収した油の行く先として製油所という話がありました。この製油所に持ち込んだ処理は、どの様な方法を採られていたのでしょうか。日本においては、今回のナホトカ号の事故で、事業所で発生する廃油の処分場、いわば産業廃棄物の処理施設という指定された場所へ全部入れて、そこで焼却処理という方法を取りました。製油所ではどの様に処分されたのでしょうか。

ルネル: この特別な場合には、液状油を製油所で再処理しようとしております。だいたい1,000tぐらいの油を入れて、徐々に製油所に入っている油とブレンドし、それを実際に再処理します。固形廃棄物については埋め立て地に運ばれましたので、製油所での処理は液状油だけです。

 

 

 

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