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いうことではありません。それはいつでも使用可能であって、条件さえ整えば、少なくとも選択肢として検討の対象になるということです。流出の前に事前承認をとるという計画がなければ、実際に事故が起きても分散処理剤を使うことは絶対にできません。

ネールラン: 分散処理剤を迅速かつ、効果的に使えるためにはかなり備蓄しておかなければならないと思います。それだけ大量の分散処理剤を保管しているのでしょうか。数時間で使えるようになっているのでしょうか。

レッサード: 米国ではかなりの備蓄があります。テキサスでは我が社が1,200のドラム缶分の分散処理剤を保有しています。フロリダには300か400を備蓄しております。問題は輸送です。分散処理剤があるかどうかという問題よりも、米国ではその方が問題です。多分米国には6,000か7,000のドラム缶分の分散処理剤があります。問題はそれをどうやって必要なところに持っていくかということです。事前計画が必要です。いま弊社はMSRC等と協力しながら、必要な場所、つまり散布用航空機がある所にどの様に持っていくかという輸送法を検討しています。米軍はC130の航空機を、民間のものが用意できない場合に備えて常に待機させております。

ただ、こういう手配は必要な手続きですが、その前に国民がその使用を承認するという励みが必要です。MSRCが設立されたときの米国内の状況としては、各所に分散処理剤を用意しておけば、いつでも使えるだろうということにあまり支持がありませんでした。備蓄をするにも、そのための多額の費用を提供する人々は躊躇しました。ある種の緊急事態に対する適切な配慮と承認があるという保証なしには躊躇していたのです。現在はそういうこともなくなり、MSRCは現在は必要な所に必要な分散処理剤を持って行くための輸送面を検討しているところです。

備蓄に関しては、我が社は全世界に1万2,000ドラム缶分以上の分散処理剤を持っています。一覧表を作り上げ、どこに貯蔵されているか、テキサスから米国内に限らず全世界のどこにでも、どうやって持って行くかを詳細に知っています。

我々は場所に応じた戦略計画を持っています。地域の分散処理剤は最初の数日間は有効に働きますが、その後はより高度な分散処理剤が必要になります。油が風化して粘度が高くなるために別な分散処理剤が必要になるのです。我が社は3日、4日又は5日目まで有効な、その様な分散処理剤を出荷しています。その他にも多くの計画を持っています。

ネールラン: この1万2,000ドラム缶分はどのくらいの期間保管できるのでしょうか。ミルクのように消費期限はないのでしょうか。

レッサード: 有り難いことに消費期限はありません。英国では実際にこの様なドラム缶を開けて、5年、7年だったものをテストしています。我々は10年、15年たったものをテストしています。開けない限り有効です。開けると水分を吸ってしまい、空気や微生物にも触れてしまうので、劣化の可能性があります。しかし、密封されている限り、20年ぐらいは効果があるものと思っています。

 

 

 

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