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鈴木: それは残念ながらかなり否定的な考え方があります。しかし、当面、全体の作業として、IOPC基金には、費用請求を提出する予定にしております。後はIOPC基金の理事会なり総会の判断を待つというのが我々の姿勢です。

デイヴィス: 全体の回収コストはどのくらいだと見積もっているのでしょうか。基金に対して請求したのでしょうか。そして、今まで基金から支払いがなされたのでしょうか。

鈴木: 今回の事故での費用請求の機関は、一つは、海上保安庁、それから、運輸省、自衛隊、これが国の機関です。そして、汚染被害を受けた各県、実際に資材を出し、人を出した地方自治体、それから、民間勢力として海上災害防止センターを窓口にした費用請求となります。

我々の費用請求については、まだ完全に集計されておりません。今述べた、1月から3月までの作業について費用を現在集計中です。神戸にIOPC基金がこのナホトカ号事故の補償取扱い事務所を設置しているので、そこにまず提出する段階です。したがって、IOPC基金からの支払いは、一部緊急に必要な約5億4,000万円の支払いは受けておりますが、それ以外はまだ受けておりません。

シィーヴェ: やはり経済的な面と同じように重要な問題の作業員、そして、人の安全ということについて伺いたいと思います。かなりの人が防除作業にかかわったと思うのですが、人員の安全ということに関してどの様な配慮をされたのでしょうか。作業人員への安全ということに関して、話していただけないでしょうか。

鈴木: 作業員の安全については、海上作業では船を単位にした問題なので、天候等を勘案しながら、当然回収作業その他の作業の効率化にも関連するわけですが、天候の状況が悪いときには待機状態にし、回収作業等は中断する、無理な船の運行は実施しないという点が一つあります。それから、海岸からの作業については、直接海岸で回収作業をする場合、波等に足がさらわれないように、安全対策については監視態勢を十分取りながら作業を進めました。

ルネル: 回収した油水量の4万7,000kLのうち、油分はどのくらいだったのでしょうか。

鈴木: これは確定しておりません。ドラム缶に収容したのが約11万本です。それから、海上で回収した油をそのまま、グラブ船に収容して、それをそのまま処理施設へ持っていったものもあります。フレキシブルコンテナに収容したものがあります。そのうち、油回収船で回収したものについては、約1,100kLぐらいになります。実際の油分は200kLくらいであろうと推定をしていますが、油分がどのくらいの量になったかという確定はまだ出ておりません。

ルネル: 全体で5ないし10%が海上で回収されたようですが、その油分は回収油の40%なのか、80%なのか、概算で油分の割合はどのくらいでしょうか。

鈴木: 海上で回収した油分は、トータルにするとおよそ30%から40%ぐらいの油分であろうと思います。ただ、海岸作業については、かなりゴミ等々に付着したものも含めているので、これらの概算は非常に難しい面があります。

ディヴィス: 油まみれの砕片等の固体の廃棄物を処分する方法としてはどういったものをお使いだったのでしょうか。

鈴木:  固形物は全て廃油の処理施設へ搬入して、そこで焼却処理をしております。焼却炉での焼却ということです。

 

 

 

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