3. ジャカルタ首都圏の概況
3-1 ジャカルタ首都圏の現状
ジャカルタ首都圏とは、いわゆるJABOTABEK地域と称し、ジャカルタ特別区(DKI Jakarta)の特別市を中心として、東部のベカシ県(Bekasi Prefecture)、南部のボゴール県(Bogor Prefecture)、さらに西部のタンゲラン県(Tangerang Prefecture)から構成されている。
ジャカルタ首都圏の総面積は6,580k?であり、人口は1,600万人、インドネシア全国に占めるシェアーは、面積が0.3%、人口が8.9%である。また、ジャカルタ首都圏の中で、ジャカルタ特別区が占める割合は面積で9.4%であるが、人口の占める割合は51.6%に達し、人口密度が非常に高くなっている。
このように、ジャカルタ特別区への人口および経済活動の集中によって、近年の住宅の需要は郊外のBotabek地域へに急激に進んでおり、都心から20〜40km圏に拡大している。また、ジャカルタ特別区の年間人口増加率を見ると、東西ジャカルタが3%と大きな伸びを示している(図3-1、表3-1参照)。
さらにジャボタベック地域の1960年代からの年間人口増加率を見ると、中心部のジャカルタ特別区が4.4%から2%に増加率が減少しているのに対して、タンゲラン県およびベカシ県では2%台から5%台に大きく伸びており、特にベカシ県の人口の増加傾向は急激に大きくなっている(図3-2、表3-2、表3-3参照)。
この傾向は1986年に策定された“Jakarta Metropolitan Development Plan 2003(JMDP)”で示された地域の空間的な開発方向を踏まえた政策の成果であり、特にジャカルタ特別区の開発効果を近郊のBotabek地域に波及させて、一体的な首都圏を形成するための『東西方向への拡張戦略』でもある。これらの開発活動のための交通網として、現在Jabotabek地域のあちこちで、民間主導による高速道路工事が実施されている。また、鉄道では駅改良工事や東西線の自動信号化工事も行われているが、今後、Jabotabek圏での鉄道の果たす役割は今後大きくなることは確実である。