4. セッション3「日本の港湾整備」
(社)海外運輸協力協会 望月規行運輸協力研究センター長
日本の港湾整備の経験からみると、Seaportの役割は2つある。
1.日本全体の地域開発面での役割。これは、経済発展に寄与する役割、全国的な物流をサポートする役割、工業化の起爆剤等を意味する。
2.特定の地域の都市空間、生活空間での環境整備。例えば、交通渋滞を港湾整備を通じて解消する等の都市交通環境を良くする役割である。
図1は、日本の高度成長期における国民総生産(GNP)と臨海部工業用地造成面積(累積)の推移(1955年〜1980年)を示したものである。日本は工業資源に乏しいため、港から工業資源を輸入し、製品を輸出するという形式で経済の発展を図ってきた。それを支えたのが、港における工業用地の整備である。臨海部の工業用地は、1955〜1980年の25年間で約400K?造成された。ホーチミン市の面積(250K?)の約2倍である。それ以後、港の周辺に埋め立て又は農業用地からの転換により工業用地を造成し、それを核にして経済の発展が図られた。
日本の港湾整備の仕組みで重要な点。
?全体計画、上位計画との整合性。国全体の国土計画、経済計画との整合性が必要。
?港湾整備は、収益の上げにくい事業である。従って、国及び地方公共団体の税金を財源とする補助により採算性を図り事業化されてきた。
?港湾の管理は地方公共団体が行ない、運荷役作業などの運営(オペレーション)は、民間企業が行っている。国及び地方公共団体は、計画や資金面で協力をしているが、実際は民間企業の自由な発想で港湾は発展している。