日本財団 図書館


7. セッション6「東アジアの港湾整備」

(財)国際臨海開発研究センター 西日幸男専務理事

 

は じ め に

 

本論の対象とする東アジアの諸国としては、図-1に示す地域にあるヴェトナム、インドネシア、韓国、カンボジア、シンガポール、タイ、中国、フイリピン、マレーシア、ミャンマー、台湾、北朝鮮、日本の13か国を取り上げ、先ず、これらの国々の港湾のプロファイルを出来る限り新しいデータと情報を基に整理した上で、主要国の港湾整備の基本的方向を紹介する。次に、この地域における主要な港湾関連の開発プロジェクトを数例紹介し、最後に、東アジア諸国の港湾開発の展望と課題について簡単に触れる。なお、ここで用いたデータは各国の事情や統計によってその時点、精度などが異なるため、全体として必ずしも統一の取れたものではないこと、また、将来の展望、課題などに関しては港湾当局の資料等をベースにしているが、筆者自身の私見も含んでおり、必ずしも各国の公式見解と一致するものではない。

 

1、東アジアの港湾の概況

 

表-1は、イギリスのロイド社が毎年発行している“Ports of the World”の1997版を用いて作ったもので、これによると東アジアの主要港湾の数は約400港となっている。極く小さい港湾までを含む全数を正確に調べるには、国によって港湾の定義が異なっていたり、私営の桟橋などを網羅した統計がほとんどないため、事実上不可能で、ここではそれぞれの国にとって主要な港湾だけをとりあげているにすぎない。この表で見ると、全世界の主要港湾約2,600港の16%を東アジアの港湾が占めている。中国の人口があまりに大きいので、東アジアから中国を除いた人口を見ると、約7億5,000万人、世界の総人口57億人の13%になり、このデータで見る限り東アジアは人口比率に匹敵する港湾を持っているという事が出来る。

図-2は世界の海上コンテナの荷動き量を示したもので、楕円形の中にはそれぞれの域内に荷動きを、その間の矢印は地域間の流動量を1,000TEU単位で示している。例えば、アジア域内の荷動きは1996年に620万TEUで括孤内に示すように1990年の1.8倍近く増加しているのがわかる。これに対して欧州内の荷動きの伸びは1990年の1.5倍にとどまっている。地域間の流動を見ると、アジアと北米間が一番多く820万TEUを超えている。欧州、北米間はせいぜい330万TEU程度で、アジア、欧州間の575万TEUのに比べても60%以下となっている。前の図を表にしたものが表-2である。1996年の世界のコンテナの荷動き総計3,725万TEUの54%に当たる

2,016万TEUがアジア関係の荷動き(アジア-北米、アジア-欧州、アジア域内の計)であると言うことが出来る。なお、この表に出てくるコンテナの荷動き量は、コンテナ船で運ばれた数を表しているので、港湾で取り扱われたコンテナの個数の半分、特に、トランシップメント扱い個数の四分の一になっていることにご注意されたい。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION