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6. セッション5「東アジアの空港整備」

(株)野村総合研究所 木村東一取締役関西支社長

 

私は、東アジアの空港整備の現状と将来について、ご報告いたします。 昨日の先生方のご報告から、交通施設整備の重要性をよくおわかりいただけたと思います。私は、その交通施設整備の中で、特に空港について報告します。

空港の役割について、まず説明します。昨日のお話で再々出ましたが、交通施設整備は、国の発展、つまり国民生活の向上、経済発展や国民所得の増大のために行うものです。 国の経済発展は、幾つかの必要な段階があります。第1の段階は、工業化です。第2の段階は、今、日本やアメリカ、ヨーロッパで起きている情報産業化であると思います。

ヴィエトナムは、今工業化が必要です。工業化は、別の言葉で言えば、リアルエコノミー、実物経済を達成するということです。工業化の次に情報産業化がきますが、その典型が不動産とか株式市場のような信用経済、つまり、クレジットエコノミーの社会です。

交通施設整備は、このような経済発展の段階を担保するのに極めて重要です。つまり、工業化を進めるに際して、物の流通、つまり資源を持ってきたり、あるいは作った物を輸出したりすることが重要になりますが、このためには、稲村先生が言われたように道路と港湾の整備が非常に重要になります。

その次に情報産業化が来ますが、その前提として、資金が流通する、それから情報が流通することになります。このためには、人が行き来することが非常に重要になりますし、その時点で、空港とか鉄道の重要性が増します。その後は、日本やアメリカで見られる情報通信網、これはマレーシアでもやっていますが、光ファイバーネットワークや衛星通信網が非常に重要なインカムとなって来ます。

今、申し上げたことから、空港の重要性、飛行機による人や貨物の移動の重要性、位置づけがおわかりいただけたと思います。つまり、空港は、人の行き来を保証する、それに伴ってお金の流通や情報の流通を保証することができる施設となります。それにつけ加えて、空港は観光の重要な基盤になるので、手っ取り早く外貨を稼ぐことができるようになります。韓国やインドネシアは、今非常に観光に力を入れているのがその例です。

以上のような観点から、現在東アジアの国々は大規模な国際空港を非常に重要視しています。これは、別の言葉で言いますと、インターナショナル・ハブ・エアポートの整備を重視するということになります。このインターナショナル・ハブ・エアポートは、私よりも今野教授のほうがご専門ですが、東アジアの空港整備の現況について、最新のデータを使ってこれから説明します。

 

 

 

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