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超音波による計測は減圧前(地上)、減圧後高度10000フィートに到達した直後(2〜5分)と15分後、復圧後(地上)5〜10分の4回施行した。また左第二指にパルスオキシメー夕、右上腕にマンシェットを装着し、1分間隔で酸素飽和度、血圧、心拍数を計測した。減圧方法は航空自衛隊航空医学実験隊の低圧実験装置を使用し、室内気圧を5分で0.69気圧(高度3000m相応)に下げ、15分間低圧負荷した後、同じ速度で加圧し大気圧に戻した。3〜4時間の間をおいて同一被験者で三度施行し、その平均値を各被検者の計測値とした。尚、本研究は航空自衛隊航空医学実験隊との共同研究としておこなったものである。

 

結果

1. 血圧、心拍数、酸素飽和度

1 被検者2回、計10回の収縮期血圧、心拍数、酸素飽和度の変化を図1〜3に示す。減圧前および減圧初期、血圧と心拍数に被験者間でばらつきをみとめるが10000フィートに達してからは比較的同一の変化を示している。平均値でみると血圧は減圧直後121±15から125±20mmHgに一旦増加したが、減圧後15分では117±18に低下した。心拍数は減圧中増加傾向を示したが、その程度は減圧直後に著明であった。一方、酸素飽和度は全例において低酸素症状を示さなかったが、減圧後、時間とともに徐々に低下し15分で最大97±1%から85±3%に低下した(図4)。

 

2. 左室径、駆出率、平均左室円周短縮速度

左室拡張期末期径と収縮期末期径は減圧によりいずれも軽度縮小傾向を示したが(図5、6)、駆出率は有意な変化を示さなかった。一方、左室円周短縮速度は駆出時間が294±22から277±37に減少したため減圧直後に1.30±0.16から1.41±0.38c/sに増加傾向を示した(図7)。

 

3. 一回拍出量、心拍出量

一回拍出量は減圧直後に65±18mlから59±10mlに減少したが、心拍数の増加により心拍出量は不変(4434±1844mlから4415±1449ml)であった(図8)。

 

 

 

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