視覚の加齢変化 ―各種視機能の年代別検索―
東京慈恵会医科大学 眼科
北原 健二
松崎 浩
神立 敦
高橋 現一郎
要旨
本研究は、視機能の加齢変化が航空業務に及ぼす影響について検索するため、各視機能の年代別変化について検索し、視覚の加齢変化につき検討することを目的としたものである。
本年度は、視野として動的視野と青錐体系視野(感度)、視力、および色覚の年代別変化について解析し、各視機能の加齢変化について検討した。動的視野については、各年代ごとに同一症例における視野面積および周囲長の経時的変化を検討した。青錐体系視野については、有水晶体眼および白内障術後の眼内レンズ挿入眼における感度差を年代別に比較し、水晶体の影響を除いた青錐体系感度の加齢変化を検討した。視力は、眼内レンズ挿入眼の最良矯正視力について年代別に比較し、視力の加齢変化に及ぼす要因について考察した。色覚においては、色覚正常者を対象に色合わせ法を用いた検査により年代別の差違について検討した。その結果、いずれの視機能も加齢により低下することが示された。また、青錐体系感度および視力における加齢変化の要因としては、中間透光体の加齢変化とともに、網膜から視覚中枢における変化が関与していることが確認された。
以上の視覚の加齢変化の検討は、航空機乗員における加齢変化の乗務に及ぼす影響の検討、ならびに身体検査における視機能の判定法の開発や経過観察に寄与するものである。
