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2. 研究調査

 

2.1 実機を使用した電磁波経路損失の測定

2.1.1 経路損失(Path loss)

1996年8月20日発行のRTCA(米国無線技術委員会)文書番号DO-233(航空機内で使用する携帯用電子機器)では新たな研究として経路損失の測定が行われている。経路損失とは一般に「ある地点で放射された電波が他の地点で受信されるときの伝播損失」を意味する。DO-233では機内で使用する携帯用電子機器から放射される微弱電波が航空機システムに影響を与える時、それは機体外部に取り付けられている各種アンテナで受信され、その結果航空機システムが影響を受けるのではないかと推測している。従って、客室の様々な場所から電波を放射し、各種アンテナを経由して夫々の受信機のアンテナ入力端に届く受信レベルを測定することによって、携帯用電子機器から放射される微弱電波が航空機システムに影響を与え得るのかどうかを考察することができる。

客室内で放射された電波は窓やドアの隙間等から機体外部に出て、更に翼やエンジン等で反射したりあるいは回折により機体外部に取り付けられたアンテナに到達する。その経路は複数ある(マルチパス)と考えられるが、このような場合には受信される電波の強さは一般にRayleigh分布に従うとされている。

一方、機体内部には様々な電線が配線されているが、客室内の携帯用電子機器から放射される微弱電波がこれら電線に直接干渉するのではないかという議論もある。RTCA/DO-233ではその可能性はほとんど無いとしているが、それを裏付けるための測定も行っている。

以上を踏まえ、今年度は実機を使用して経路損失とケーブルヘの干渉に関する測定を行った。使用する機体の選定にあたっては、RTCA/DO-233では測定を行っていない機種であること、国内航空三社が運航しているという点からボーイング式777型機とした。又、測定場所は周囲の電波環境も考慮して沖縄県の下地島空港とした。

 

 

 

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