日本財団 図書館


ごあいさつ

 

知的障害者福祉の分野では、世界的な流れとして近年まで大規模な施設への入所がその取り組みの中心でありましたが、1981年の国際障害者年を境に大きく変化し、障害をもつ人も、もたない人も共に生きられる社会づくりをしようということが主流となってきました。

1995年に策定された障害者プランにも述べられている通り、我が国でも「地域で共に生活する」「社会的自立の促進」「バリアフリー化を促進する」等の7つの視点から地域生活というものを中心に据え、障害者本人の社会参加、あるいは要望に基づいた取り組みや、自立を積極的に支援する方向へ変化してきました。

当財団では早くからこの問題に着目し、1993年には米国におけるグループホームや援護就労に関する実情調査等を経て、「新たな支援システム」「将来的に求められる施設の在り方」等をテーマとして学界、団体、現場等それぞれの立場でご活躍の方々を結集した研究会を発足し、先進国の試みや、我が国固有の問題点や課題についてご意見をいただき、様々な討議を行って参りました。

その後スウェーデンの実態を調査したVTRを作成・配布し、多方面から反響を得ましたが、ご意見の中で多かったのは、日本の現状や先駆的な試みを詳しく知りたいということでした。研究会では早速そのような声を受け、各地を取材し、今回の日本版を作りました。これは偏に研究会委員の皆様を始め、撮影、制作に携わられた方々、そして何よりも快く被写体となっていただいた障害者ご本人や、ご家族、援護者、その他数多くの皆様のご協力の賜物と改めて感謝申し上げます。

今後、本人の意思による、それぞれのスタイルを選択できるような自立環境が求められ、また地域生活が困難な重度障害者への配慮やレスパイトサービスなどが益々必要になってくることを考えると、私共日本財団といたしましても、そうした需要に柔軟に対応した、有効な支援を考えていきたいと思います。

このVTRが、我々は何が出来るかということを考えていくひとつの指標となり、また皆様からいろいろなご意見を賜れる機会となりますことを、心から希っております。

 

日本財団

 

会長 曽野綾子

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION