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これまでの研究では、水分調製の後には充分な時間をおいて剪断強度を計測した。

一方、現場円錐貫入試験では、水分調製から円錐貫入試験までの時間(以下、「寝かし時間」と呼ぶ。)を充分に長くすることが困難である。そのため、「寝かし時間」と円錐貫入力の関係は、基本的には実験室円錐貫入試験で計測し、現場試験においては、可能な範囲で補足的に、「寝かし時間」と円錐貫入力の調べることにした。結局、どちらの鉱石についても、試験第一日目の最後の試料に対して、試験第二日目の最初は水分値の調製を行わず、撹拌した上で供試体を形成し直し、円錐貫入試験を実施した。

4.3.3.円錐貫入試験方法

試験装置先端の円錐の底面積(最大断面積)は6.45cm2である。装置は、丸東製作所製で、丸東リングと呼ばれる鋼製の円環を介して円錐を貫入させ、その際の円環の撓みをデイヤルゲージで読みとるタイプであり、較正係数は4.2目盛り/kgfである。また、テウディエ鉱については、比較のため、プロクター貫入試験装置の先端を円錐とし、バネとストッパー付きの目盛りで計測するタイプのものも用いた。

試験では、供試体上面から、約1cm/secで円錐を貫入させ、装置の先端が試料上面から10cmの深さに達するまでの円錐貫入力の最大値を計測した。円錐を貫入させるポイントは概ね約15cmで間隔で、試料表面に大きな塊が明らかに見えている場合を除き、塊があっても避けることはせず、機械的に選定した。データの処理の都合を考慮して、円錐貫入試験は、一つの水分値について原則として60回づつ実施した。

この円錐貫入試験は静的円錐貫入試験であり、ポータブルコーン貫入試験とも呼ばれる。この試験では、一般にはロッドを継ぎ足して所定の深さまで実験を行うため、試験結果については、ロッド等の重量の補正を行う必要がある。しかし、本研究における試験では、ロッドは一本だけに固定していたので、ロッドや先端の重量を含めた状態で目盛りを零に合わせることにより、日盛りの読みを較正係数で割っただけで円錐貫入力が得られる。

4.3.4.攪拌及び供試体形成方法の詳細

テウディエ鉱の試験においては、大型のベイローダ(ショベルカー)を用いて試料の調製を行った。そのため、試料の攪拌及び供試体の形成は以下の手順になった。

(1)円錐貫入試験を行い、水分値計測のための試料を採取した後、供試体を崩し、厚さ15cm程度になるように、試料を床に広げる。

(2)可能な限り偏らないよう、試料に所定の水を加える。(水をまく。)

(3)試料を集めて出にする。

(4)山の頂部を崩して、平坦に均す。

(5)試料の上部をショベルで押さえて締め固める。

(6)再び試料を崩して山を作り直す。

(7)(4)〜(6)を3回程度繰り返す。

(8)最終的な厚さが35cm程度になるように、山の頂部を均す。

 

 

 

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