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3.各調査研究実施結果

 

3.1. 調査研究の目的

粘着性物質であるニッケル鉱は、水分値が一定の値を超えると荷崩れの危険性が急激に高まることが知られており、実際に我が国においてもニッケル鉱運送中のばら積み船の異常傾斜事例が報告されている。ニッケル鉱を安全に運送するためには、水分値の上限を決定する等、貨物が有する荷崩れの危険性を評価することが必要であるが、ニッケル鉱の荷崩れは液状化とは異なる現象であるため、液状化物質に対する運送許容水分値決定法は適用できず、未だ、貨物運送の実務に用いることのできる評価方法は開発されていない。

安全運送のため水分値の上限を決定するには、水分値を変えて貨物の剪断強度を計測し、得られた剪断強度を用いて荷崩れの可能性を評価すれば良い。ニッケル鉱等の粒状物質の剪断強度を計測する方法には、一面剪断試験や三軸圧縮試験といった実験室試験があるが、これらの試験は現場には適さず、また、かなりの時間を要することから、実際の船積み現場で用いることができる簡便な試験法の開発が求められている。そのため本年度より、特殊貨物運送部会では、粘着性ばら積み物質であるニッケル鉱の荷崩れ危険性を評価するための現場試験法の開発を目的として、研究開発を開始した。

 

3.2. 調査研究項目

調査研究項目は以下の通りである。

(イ)ニッケル鉱を含む「粘着性ばら積み貨物に関する」これまでの研究内容の調査収集及びその成果に関する見直し

(口)ニッケル鉱を安全に運送できる水分値の限界を決定する方法(荷崩れ評価用円錐貫入試験)の検討

(ハ)ニッケル鉱の運送実態(船倉規模、荷繰り状況)に関する調査

(工)円錐貫入試験の実施

(ホ)一面剪断試験の実施

(へ)円錐貫入力と荷崩れ危険性の関係の検討

(卜)荷崩れ評価用円錐貫入試験方案の策定

 

3.3. 研究結果

上記研究項目は独立したものではなく、研究結果は各研究項目毎に記述するよりも、研究の流れに沿って記述した方が理解し易いため、付録1に纏めて示す。

付録1の各章と上記研究項目の関係は以下の通りである。

 

 

 

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