日本財団 図書館


委員会は、決議の趣旨を踏まえ、全ての運送モードにおける危険物運送の基本要件策定のための検討を重ね1956年「危険物輸送に関する勧告」(Recommendation on the TRANSPORT 0F DANGEROUS GOODS)(以下「国連勧告」。通称“Orange Book”)の初版を完成した。

危険物運送の基本要件を検討するためには、その内容が詳細、かつ、専門的なものであるため委員会は、下部組織として一般危険物分科会(Group of Rapporteurs)及び火薬類分科会(Group of Experts on Explosives)を設け、それぞれ詳細検討を行わしめることとした。

なお、1989年この二つの分科会が統一され、一つの小委員会(Sub―Committee)が設置され現在に至っている。

委員会における勧告改正の手順としては、各国提案が先ず小委員会で検討され、その検討結果が委員会の同意を経て、さらに経済社会理事会の承認を得て国連勧告の改正となる。

国連勧告は、危険物運送の基本要件を定めたもであり、実際の運送にあたっては、それぞれの運送モードに応じた運送基準の策定が必要となってくる。そこで、IMOでは、この国連勧告をベースとして海上運送上のさまざまな条件を考慮してIMDGコード(国際海上危険物規程)を策定した。一方、ICAOにおいても、この国連勧告を基に航空機による危険物の運送基準としてTechnical Instructions for the Safe Transport of Dangerous Goods by Airの完成をみている。さらに、陸上運送においては、欧州域内に限られているとはいえ、道路運送はADR(European Agreement Concerning the International Carriage of Dangerous Goods by Road)により、鉄道運送はRID (Regulations Concerning the lnternational Carriage of Dangerous Goods by Rail)により、それぞれ国際運送基準の統一が図られている。

これでみるように、現在すべての運送モードにおける危険物の運送基準の基礎となっているのが国連勧告であり、危険物の安全運送確保のための運送基準の渕源をこれに求めることができる。

委員会は、2年に1度西暦の偶数年に、小委員会は2年に3回開催され、国連勧告の最新化のための検討を行っている。現在(1997年)の委員国は、米、英、仏、ロシア、カナダ、ドイツ、イタリー、オランダ、ポーランド、日本、ノールウェー、スウェーデン、中国、インド、アルゼンチン、ベルギー、ブラジル、メキシコ、モロッコ、スペイン及びオーストラリアの21ヶ国である。さらに、オブザーバー国としてオーストリア、スイス、トウクライナ、南アフリカ等が、またIMO、ICAO等の国連専門機関、その他政府間国際機関、民間国際機関がオブザーバー機関として参加している。

 

4.2.2 国連勧告の概要

 

(1)国連勧告は、危険物運送の一般的要件を定める本編(ST/SG/AC.10/1)と危険性評価試験を内容とする別冊(ST/SG/AC.10/11/REV.2:1995年)が出版されている。国連勧告本編は、現在第10版(ST/SG/AC.10/1/Rev.10:1997年)が出版されており、その内容の概要は次のとおりである。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION