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私と献体

谷川明彦

私は献体とは、自分の一生で最後の社会に対する貢献と思って居ます。

私は過去、世の中の為に成る様な事を一度もした事は有りませんでした。私の人生の最後に将来立派な医者になられる医学生の方々の勉強の為になるならばと思い献体登録させて戴きました。私は去る平成元年7月末日早朝に交通事故の為に獨協医科大学病院に救急車で運ばれました。後で家族に聞いたのですが、その日は日曜日にもかかわらず当番の先生の他に十人にものぼる医師と看護婦さんが私の為に待機され救命の為に働いて下さったのだそうです。意識不明の私は知る由もなかったのでした。その後私は、整形外科のチームの先生方、心臓外科、内科、口腔外科の先生とお世話になりました。その都度医学生の皆様に会い、真剣に医学に取り組まれる姿を見てきました。

一人のお医者様が成長されるのには何年も何年も修行されることを知り、又自分の命を助けて下さった獨協医科大学の皆様にお返し出来る事、それは私自身の身体で医学の勉強に役立てて戴ける献体をすることだと思い立ちました。

私の献体登録と同時に母もさせて戴きましたが、私はその後大学の敷地内にあります献体者に対する設備の立派な事と、そして又、年一回施行されるという解剖慰霊祭の立派な事を目のあたりに見て自分の志も良かったと心から思ってやみません。

つたない文章ですが、医学にたずさわる皆様、毎日大変ですが頑張ってください。

 

 

 

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