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献体

根城 晝夜

献体の会「りんどう」と名づけられ

夫婦して 献体希望二〇年

卆寿にて 妻献体の めでたさよ

献体の 祖母解剖を 我が孫も

卆寿にて 妻献体の めでたけれ

 

この手

花島 清吾

今日もすることもなく、ベッドに横たわり病が故に変化した己が手をみつめる……

侠客吉良常が死ぬ間際に己が手をながめ「人生五十年と言うけれど俺は、この手で何をして来ただろうか?」

さあーて、私は病で変形したこの手で何をして来ただろうか?……

幼な頃おいたをして、つねられたこの手、

父や母の肩をもんでお駄賃を貰ったこの手、

学生時代は色々なスポーツをやったこの手、

陛下の赤子として銃を取ったこの子、

幾十人、否幾百人否、否

幾千人の

紳士、淑女、可愛い子供さんらの服を縫ったこの手

いとしい妻の髪をなでたこの子、

可愛い我が子を抱いたこの手、

私の人生と共に生きてくれ、

又私を手助けしてくれたこの手

ほんとうにご苦労さん、

ご苦労さん。

唯、唯、感謝の二字につきぬ、

“しびれる手 便りかきつる

身は悲し”幼な頃お?

 

 

 

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