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献体を決意して

長谷敏子

昭和52年3月10日出勤途中で吐血、食道静脈瘤破裂(門脈圧亢進症)。救急車にて藤井寺市民病院(当時道明寺病院院長 佐々木先生)へ。この時血圧0。前田医師の執刀のもと外来患者ストップで手術。99%助からぬと言われたのが奇跡的に助けて頂き、尊い生命を授かり心より感謝して居ります。4年後に再発しなければ大丈夫と言われたのが4年目に又吐血し、その後毎年の様に吐血で入院。鼻から管を入れる苦しさ……。3年ばかり前より吐血で入院する事もなく、それも医学の発展により、硬化術にて吐血をふせぐ。昨年3月高熱にて又入院。原因わからず。入退院の繰り返し。意識もうろうとして自分がやった事に全然覚えがなく、アンモニアの数値が高く、腹水もたまり、毎日点滴の日々が続く。ブラッドアクセス術を行い、自宅で毎日点滴する様になりました。発病以来26回入退院し、現在に至って居ります。足にしびれが来て、歩くのがつらく、一日出ると翌日は一日寝たり起きたりの日々が続いています。今まで生きながらえたのが不思議です。古くから居る看護婦さんに長谷さんの精神力には敬服すると云われ、これもひとえに医術のおかげと感謝するのみです。こんな切りきざまれた私でも、死してのち医術にたずさわる先生方の少しでも役に立てればと献体を決意した次第です。兄は反対でした。でもお前が良ければと賛同してくれました。

私共夫婦には子供が居りません。何も悔いる事はありません。この先何年生きられるかわかりませんが、その日迄生命大事につとめて参りたく思います。

これから又暑い日々となります、会の皆様ご自愛の程を。

 

 

 

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