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感ずるままに

兼高 岐美恵

私が数年も前から気になって居りましたのは、「献体」とは自分自身で申出をする事が出来るのか疑問でした。相談する人もなく、そのまま過ぎておりました。ここ三、四年お世話になっておりますお医者様を思い付き、お訪ね致しました。先生は「思い付いたらそれが折かも知れない、自分でそう思うのなら尋ねて見なさい」と電話番号を書いて下さいました。

すぐ家に帰り電話を致しました。駄目ではないかとの不安も有りましたけれども「パンフレットを良く見て其の気になったら」と言う事で、早々に送って下さいました。私はやっと去年の九月に正式に登録証を頂きました。それからと言うものは胸につかえていた何かが下り、心なごんだ日々を送っております。

四月十九日の総会にも参加させて頂きました。有意義な御講話、ピアノのコンサート、お食事まで頂けるとは思っておりませんでしたのに、なつかしい「八竹のお寿司」白い小箱のうさぎやのお菓子まで、私は箱のふたを開けて思わず胸がじんときました。中は紅白のおまんじゅうでした。これは私達が「これまで無事に過ごしてこられましたね」との心配りと思い有り難く持ち帰りました。

帰りはゆったりした気分で御茶の水の景色を眺めながら帰りました。心より感謝致して居ります。

先の事はその時にどうなる事かわかりませんが「人事を尽して天命を待つ」の心境です。

 

 

 

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