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「盲・聾・養護学校」児童青少年演劇巡回公演

試行錯誤の連続でした

来年度もぜひつづけてほしい

影絵人形劇団みんわ座 田中佑子

 

今年度から始まった日本財団助成による『盲・聾・養護学校』児童青少年演劇巡回公演」。公演する劇団も初めて、受け入れる学校も初めて、というところから劇団の試行錯誤が始まった。

聾学校公演に取り組んだみんわ座もしかり。その報告である。

 

文字スーパーを

劇団みんわ座は、北海道内の7校の聾学校(小樽・旭川・釧路・帯広・札幌・室蘭・函館)を影絵人形劇『とべないホタル』と『赤いろうそくと人魚』で公演しました。

今回は(社)日本児童演劇協会が企画した新規の事業のテストともいえるものでした。聾学校側から好評を得られれば、来年から協会の恒常的な事業になれるかもしれない仕事です。

ふだんは健聴者を対象にしている作品を、どのように工夫したら、聾学校の子ども達に見てもらえるか。音を聞き取る障害のある人たちですから、まずはスライドで映す文字スーパーを考えました。

芝居の中のセリフを全て文字ス―パーにしては、劇の進行のなかで読み切れるものではありません。どのくらいの速度で読めるのか、字数は、行数は、どこまでまとめれば良いのか。音楽効果をどう伝えるのか。読みやすい書体・文字の大きさが検討され、それを受けて脚色者が原稿を作り、白抜き文字のスライドにしました。

 

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試演会を開く

公演に先立ち、試演会を神奈川県の平塚聾学校にお願いし、7月18日に行いました。

協会からは内本文英会長始め事務局の方々、『とべないホタル』の脚色者である生越嘉治氏、劇団からは代表ほか制作部も参加。日本財団の高木恵さんにも来ていただきました。

そして、心よく協力していただいた平塚聾学校の先生方が見守る中、生徒が入場し試演会が始まりました。

この日の進行には手話通訳が付きました。終演後、先生方と意見を交し、その結果を踏まえてさらに文字スーパーを書き換え、フィルムを作り直しました。この公演では文字をスクリーン横に補助スクリーンを立てて映したのですが、影絵の画面の中に入れるほうが見やすいことも分かりました。

 

ループ線とは

北海道での初日、9月2日は、小樽聾学校の公演でした。

元気に遊ぶ子どもたちの声が聞こえてきました。ふつうの子どもたちと変わらないね、などと話をしながら仕込みをしていました。

体育館の床の下に電波を発する線が張りめぐらされているそうです。これをループ線といいます。子どもたちの耳に付いている補聴器は、二つのスイッチが付いている。普通は補聴器として、私たちの聞いている音、雑音も含めた音を増幅しています。スイッチを切り替えると、床のループ線から出る電波の音だけを、拾えるようになっています。人間の感性は、音からかなりの情報を得ています。言葉はその音質、強弱、速度によって、いろいろ異なる意味をもちます。

 

 

 

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