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第2節 カスタマイズ部分の特定

 

アプリケーション・パッケージのカスタマイズに関するパッケージベンダーとの取決めは、次の二つの段階に分けて行うことが望ましい。

・カスタマイズ部分に関する著作権の扱いについての基本方針を決定する工程

・カスタマイズの実態に即してカスタマイズ部分を特定する工程

まず、カスタマイズ部分に関する著作権の扱いについての基本方針は、導入時の契約の中で合意されるべきものである。すなわち、

 

?@そもそもカスタマイズ部分の著作権が地方公共団体に帰属するとするか否か

 

?A地方公共団体のものであるとした場合、カスタマイズ部分の識別手続きについて

 

?@については、現在でも地方公共団体で行なわれている例が存在する「著作権の譲渡を請求しない代わりに、開発費用を節減してもらう。」という考え方が一方にあり、どちらの考え方を採るかでカスタマイズ部分の著作権に対する考え方は大きく異なる。したがって、アプリケーション・パッケージの導入時点でこの基本的な方針を確定して、「カスタマイズ部分の著作権は地方公共団体に帰属するものとする。ただし、カスタマイズ部分の特定については別途協議する。」等の条項を導入契約に盛り込むか否かを決定する必要がある。

?Aの識別手続きは、実際には「設計確定段階」と「納品・支払い前段階」の2回に分かれると考えられる。

カスタマイズ設計では、カスタマイズ要件に基づいて作業が進められるため、設計の確定時点でカスタマイズ箇所を識別しておくことで、要件からの変更箇所を見つけ出すことが容易になる。しかし、プログラミング・テスト以降はユーザーによる変更要求などが発生するために、カスタマイズ部分が拡大・縮小する可能性があり、したがって、安全に納品されうる状態になった時点でもう一度カスタマイズ部分の識別を行うことにより、最終的なカスタマイズ個所の特定が完了する。

 

 

 

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