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1-1 製品情報の不足

 

近年のパソコンの高機能化とネットワークOSの普及によって、パソコンをベースとしたクライアント・サーバシステムの開発が一気に加速した。行政分野のシステムにおいても例外ではなく、再構築・新規構築を問わず、開発計画の中でクライアント・サーバシステムの検討は欠かせないものになっている。アプリケーション・パッケージの市場もこうした動向に対応して、クライアント・サーバ形式の製品を開発・投入されつつある状況である。パッケージベンダーによるカタログ情報は存在するが、クライアント・サーバシステムパッケージの市場そのものが立ち上がりはじめている段階では、実際に導入した経験を持つユーザーの評価などの貴重な情報が不足していることは否めない。また、パソコンOSの動向のようにメーカーの方針自身が必ずしも明確ではないものについては、収集するべき情報そのものが存在していない場合も考えられる。

 

1‐2 パッケージベンダー提案の評価の困難性

 

パッケージベンダー等が示したシステム企画提案を評価する作業は、ユーザー要件をはじめとする各種の情報や提案内容の比較・分析作業などの多大な労力を要するものである。

こうした従来の要件に加えて、アプリケーション・パッケージを用いた提案の場合は、アプリケーション・パッケージのブラックボックス性に起因する評価上の難しさ(内部処理の正当性を、限られた入出力の結果から推測する以外に方法がないこと)が存在する。

 

1‐3 ユーザー要件調整の困難性

 

必ずしもアプリケーション・パッケージを用いた開発案件だけに限らないが、アプリケーション・パッケージを用いてプロトタイピング手法によってユーザー要件を抽出しようとする場合、プロトタイプが具体的であるがゆえに、要求の量が多くなり、かつ質的にも細部にわたる結果になる可能性が高い。要求が具体的かつ豊富であることはプロトタイピング手法の主旨から言って望ましいことであるが、システム開発の目的や期間・経費などの諸条件を考慮して要求の重要性を順序付けて、ユー

 

 

 

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