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総合的な旅行企業としてきた。日本人の海外旅行者の多くはこれらの企業を利用するが、企業数では対象に入れなかった中小企業が多い。海外ではツアーオペレーターが活躍している。これらの企業の国際経営行動も果たしてエスニックなのだろうか。研究対象を拡大して調査を進める必要があるだろう。さらに、本研究では事例研究という定性的方法を用いたが、定量的分析も行い、相互に補完する形で両者の分析を統合する必要があるだろう。

海外旅行が一般化し、多くの日本人が海外に出掛けるようになって久しいにも拘わらず、依然として日本の旅行企業には自民族を中心としたオペレーションがみられる。だが、このような経営行動は旅行産業以外の産業、例えば、商社、銀行、証券、運送などの業務についてもみられる。それ故、エスニックな国際経営行動は、標準化が困難なサービスを提供する産業や、取引上、本国と深く関わる産業が海外進出する際の、ある程度の発展段階において共通に認められる行動なのかもしれない。エスニックな経営行動の効果と成否の条件を明らかにすることによって、これらの企業が今後どのように変貌しながら国際化していくのかをみることができるだろう。

 

〈脚注〉

*1 海外進出とは、海外拠点の設立を意味している。

*2旅行素材を提供する企業。ホテル、レストラン、バス会社、ガイド派遣会社などをさす。

*3 現地に在住していない海外からの旅行者を受け入れる、迎客業務。

*4 現地に居住する旅行者を海外に送り出す、送客業務。

*5 旅行企業が顧客企業の出張渡航に関するあらゆる業務を包括的に管理し、出張コストの削減を実現するための相談相手となる、いわゆる業務渡航のコンサルティングを行う業務。顧客企業はそのコンサルテイングカに対して対価を支払う。BTM契約を行った場合、旅行企業は顧客企業の出張規定など業務渡航に関わる規約の見直しや、サプライヤーと顧客企業との間で行われる料金交渉の支援、実際の旅行手配などを行う。旅行企業がサプライヤーに対する年間の支払額や顧客企業の旅行に関するデータを蓄積・分析することによって、価格交渉が有利に運ぶようにする。それと同時に事務処理の効率化も図り、最終的に顧客企業の出張コストを15〜20%削減しようとする。契約した顧客企業は定期的に旅行企業の業績をチェックし、契約を継続するか否かを判断することになる。

*6 「海外進出企業総覧 1997年版」より算出。

*7 世界的に経営活動を行う中で本国親会社を中心にデザインを行う態度(Perimutter,1969)。

*8 パッケージッアー参加決定時の重視項目は、旅行コース、価格の安さ、旅行会社の信頼性の順になっている。「JTB REPORT'96」52頁。

 

〈ヒアリング調査対象者リスト〉

*役職はインタビュー当時のもの

青木玲二 氏 (?日本交通公社経営改革部部長,1996年10月)

入田恒雄 氏 (?日本交通公社海外旅行企画部国際事業チームマネージャー,1996年10月)

笹口和彦 氏 (東急観光?海外業務部業務課長,1997年4月)

高橋一嘉 氏 (近畿日本ツーリスト?グループ事業部専任副部長,1995年9月)

田中茂穂 氏 (近畿日本ツーリスト?グループ事業部専任部長,1997年7月)

野沢 肇 氏 (?日本交通公社海外旅行企画部国際事業チーム,1997年4月)

平井一男 氏 (?日本交通公社経営故革部ビジネス・プロデューサー,1997年4月)

福田芳巳 氏 (東急観光?経営企画室次長,1995年11月)

八木健輔 氏 (近畿日本ツーリスト?広報部副部長,1995年7月)

渡邉宏之 氏 (近畿日本ツーリスト?グループ事業部副部長,1995年9月)

渡辺 真 氏 (東急観光?海外事業部事業課長,1995年11月)

 

 

 

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