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CONTEMPORARY DANCE SEMINAR(コンテンポラリーダンスセミナー)

ダンス・カンパニー「ローザス」でダンサーとして活躍する日玉浩史氏による若手ダンサーへの言葉でのアプローチ。ダンサーの社会的立場・作品創造への関わり方などフランクに語り合う中で、ヨーロッパと日本間の比較・検証を行いました。

 

ローザス〜創造のプロセス

9月26日「ダンサーの日常生活と社会的立場」

9月27日「創造の場、アーティストとしてのダンサー」

日玉浩史

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日本にも若手コリオグラファーによるインデペンデントカンパニーが増えてきた。80年代後半くらいから東京を中心として活動を開始した20代から30代のダンサーたちは多かれ少なかれ、ヨーロッパの新しいダンスの影響を受けていた。ウィリアム・フォーサイスやピナ・バウシュといったドイツで活躍する鬼才の一連の作品や、ローザスやレスキスといったベルギー、フランスのコンテンポラリー・ダンスは、日本の若いアーティストや観客を魅了したのだ。しかし、これはたんなるダンスのニューウェイヴ現象というだけでなく、日本のダンス界に、構造上の変化をもたらしたともいえる。ダンサーになるためには、身体というやっかいな代物との格闘をふつうは幼児期から開始し、終わることがない。「レッスン」は、技術の習得とその維持のために現役である限りは続けられ、「メソッド」は、身体に浸み込むようにして獲得されステージで花開くに その道のりは平坦でないばかりか、壁も多い。その壁はしばしば新しい表現の出現を阻んできた。

若いダンサーたちが、まず行ったことは、自ら同好の士を集め、カンパニーを作って、それに名前を付けたことだ。そして、振付を行い、公演の主体となった。スタッフを雇い、チケットを売って、宣伝をした。そして(ここが重要だが)自分たちの踊りたいダンスを、自由に踊った。ダンスのニューウェイヴたちは、自分たちの表現のために、教室での「レッスン」や「メソッド」と訣別したのだ。もちろんダンサーであり続けるための日常的なレッスンや新しいメソッドを体験することはやめはしないだろう。しかし、感性や思考のヒントを教室や先生に求めて安全な場所で踊ることは、例えばピナ・バウシュの世界を理解する手助けにすらならなかったのである。

 

このセミナーは、そうした現状を踏まえて、表現者としてのダンサーをどうやって社会に位置つけるかがテーマとして意識されていた。2日間にわたっておこなわれたラウンドテーブルは「ダンサーの日常生活と社会的立場」「創造の場、アーティストとしてのダンサー」とそれぞれテーマが設けられていた。講師の日玉浩史氏は、出席した日本のダンサー、コリオグラファーたちと同世代てあり、問題を共有しなから、積極的に出席者の発言を引き出していった。

 

 

 

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