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ダムパイプ『OR』

1997年10月5日/パークタワーホール

スピーカー:熊倉純子、ダムタイプ(高谷、藤本、山中、砂山、川口、小山田、池田)

 

熊倉純子●トーク・ショーやるから、「じゃあどなたがお出になりますか」と言うと皆尻込みをして、じゃあ皆かなということになって、それでこういう大人数になってしまったんですけれども、コンサートとパフォーマンスのチラシ、とってもきれいなチラシですけれども、しげしげと見てもですね、今日のプログラムらしきものを見ても、ふつう演劇とかダンスとかは演出とか構成、誰々というふうに名前があるじゃないですか、どこを探してもないんですね。中核メンバーになればなるほど、一体誰がダムタイプなのか、一体これはどうやって作っているんだろうかと。その辺のところが非常に特異な、グループのコアはあると思うんですが、周辺にいろいろな人達がいて、その人達が出たり入ったりしている。コアと関係ない人との間にたくさんの関係者みたいなにじみのある活動体だと思うんですけれども、グループのあり方ですとか、特にこの作品の製作の話を聞かせていただきますか。

高谷●この『OR』という作品は今年の2月から3月にかけて一月、フランスのモーブージュというところでレジデンスっていう形態、皆でそこに住み込んで劇場を借り切って作るっていう形態で作ったんです。今までのダムタイプのパフォーマンスの作り方というのは、台本じゃないんですけれども、グラフとか、全体が流れていくシステム、例えば『pH』だったらトラスの動きであるとか、何かそういうものとの関係のグラフのようなものを作りつつある程度想像しながら組み上げていくんですが、今回は劇場を一月借り切って使いたい放題、深夜までずっと使えるという形態を用意してもらったんです。
じゃあ何ができるかと言うと、音も編集機持ち込んでいたし映像も編集機持ち込んでいたっていう感じで、その場で出してみる、何か作ってみて、例えばパフォーマーの方からこういう意見があったと、じゃあそれをちょっとやってみようかって言って映像も出しつつやってみて、だめだったらボツ。実際に見ながら出来ちゃうって言うか、すごい贅沢な作り方なんですけれども、贅沢な反面それなりに時間がかかっちゃう。一つのアイディアをチェックするのにも。想像でやっている時というのはある程度自分達で割り切っちゃうけれども、本当に用意されちゃったらいくらでも延々としちゃう。例えば音でも、ちょこっとした部分の音にしても、これも違う、あれも違うっていって無限にできちゃうから。その辺りで贅沢な反面すごくしんどい作り方をしたんですよ。『S/N』を古橋が演出していた時は、その辺りを想像して全体の流れを作っていくのが彼で、周りは驀進しながら目をつぶりながら走って、まあ薄目を開けながら走って、それをすすっと組み合わせていたけれど、皆で目を見開きながら走る方法としてはそんな作り方しかなかったかなと。今、ダムタイプの作り方からまたちょっと再構成をし

 

 

 

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