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第4章 人材育成と連携した人事管理のあり方について課題と今後の推進方策

 

本章においては、前章までにおいての内容を前提として、地方公共団体における人材育成と連携した人事管理のあり方における課題を再整理し、今後の推進方策について提言していくこととする。

 

アンケートの結果等から見ると、地方公共団体における人材育成と人事管理との連携については、これまであまりその必要性が意識されておらず、実際の取組についても全体としては改善すべき余地が多いことがうかがえるが、その要因としては、連携を図る前にまずはその前提となるような基本的なシステムができていないのではないか、人事課と職員研修所、人事課内の研修担当と人事担当の連携が必ずしもうまくいっていないのではないか、といったことなどが考えられる。

もとより人材育成と人事管理との連携についての個別具体的な問題については、各地方公共団体が主体的にそのあり方を考えていくべき事項であることから、ここでは、?@地方公共団体共通の課題として検討した方がよいもの、?A国として一定の支援を行うべきと考えられるものを中心に、課題と今後の推進方策を検討することとしたい。

 

1 課 題

 

人材育成と連携した人事管理を行っていくための全体的な課題としては以下のようなことが考えられる。

○ 人材育成と人事管理の連携の必要性に対する地方公共団体の意識の欠如

○人事管理、人材育成を体系的に行い、相互に連携させるためのノウハウの蓄積が乏しい。

○ 人事配置、人材育成に係る基本方針が定められていないなど、人材育成と人事管理の連携のための基礎的条件の欠如

 

また、主な個別施策ごとの課題について整理すると以下のようなことが考えられる。

 

〇勤務評定・自己申告

・勤務評定は、人事管理と人材育成の連携を図るための基礎と考えられるが、地方公務員法上その実施についての規定があるにもかかわらず、実施されていない団体がある。

・実施されている団体においても、評定項目の中に人材育成を推進する観点で設定された項目がない、評定者研修を行っていないなどといった問題がある。

・自己申告については、人材育成を推進する観点で設定された項目をおいている団体が多いが、活用分野については配置転換に偏っている。

・勤務評定結果の本人開示がほとんど行われず、自己申告を補足するための個別面接も約半数の団体で行われていないなど、上長と本人のコミュニケーションが必ずしも十分でない。

 

○昇任試験、庁内公募制、経歴管理システム、目標による管理

・人材育成、能力開発にも資することが期待される人事管理諸制度については、そもそも導入されていない団体が多い。

・これらは、必ずしもすべての団体で導入すべきものではないが、今後、導入を検討したいという団体を除外することとしても、実施しない団体の割合が全体として高くなっている。

 

 

 

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