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等について言及したところである。

また、前述の平成8年勧告で提起した人事管理全般の見直しに係る諸問題を検討するため、平成8年11月、各界の有識者16名で構成される「新たな時代の公務員人事管理を考える会」を発足させ、人事管理面の課題について幅広い観点から、制度と運用の改革の基本方針について、平成9年7月には、委員の意見の中間整理を行うなど検討を行っているところである。

また、総務庁においても行政をめぐる諸環境の変化や雇用をめぐる諸情勢の変化に対応した公務員の人事管理システムのあり方等について検討する「人事管理施策の在り方に関する研究会」を平成7年10月から開催し、諸外国における公務員制度改革の動向、民間企業における人事制度の改革の動向、職員の就業意識の変化等もふまえ、これからの公務部門における人事管理施策がどのようにあるべきかについて幅広く検討が行われ、平成8年12月に報告書が出されたところである。

その報告書においても、職員の能力・業績・意向をより重視した人事管理への転換が提言され、職員の能力や業績を適切に評価する仕組みの整備やその評価にふさわしい昇進管理や処遇のあり方の必要性について提言されているところである。

 

3 民間企業における取組事例

 

民間企業を取り巻く環境を見ると、先行きの見えない経済状況の中、業務の効率化を一層進めるとともに、大競争時代に突入した国際社会の中においては、いわゆる日本型経営システムが果たしてこのままで通用していくのかという危機感はますます増大しており、今までの人事諸制度についても見直しがせまられている状況である。

また、民間企業においては、社員の能力が会社の業績にも直結することから、人材育成の重要性は、公務員以上に高く位置づけられている感があるところである。

民間企業における人事制度は、職務遂行能力に応じて資格処遇をしていく職能資格制度が広く導入されており、基本的には能力主義がベースになっており、その職能資格制度を運用していくためのツールが人事考課である。また、賃金、異動、能力開発、人事管理を別個に考えても意味がなく、 トータル人事管理ということで職能資格制度を導入していくことがポイントとなっている。

民間企業での人事制度の要となるのが、その評価制度であるが、ある会社の先進的な事例をみると、課題目標設定等を通じて、上司との対話が評価システムの中に組み込まれているので、各人の役割と目標が明示されるとともに、その客観性・納得性を高めている。また、新しい課題に挑戦するなど、現状革新への積極性と努力が、加点的に評価される。また、評定を本人に開示し、評定の納得性を高めるとともに、人材育成を推し進めるため、直属上長の評定内容を明らかにし、フィードバックしている。また、従来ともするとぬるま湯的になりがちだった評価を能力の発揮度と貢献度に応じて評価の違いが鮮明になるように「標準」といった評価を廃止し、評定区分の変更を行っている。などが民間での先進事例である。

 

 

 

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