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サンシティーホール文化事業3年の軌跡

平成9年度をもって、「歌による市民文化運動」が丸3年を終えようとしています。

それは、平成7年から開催された市民参加による「歌のおねえさん&歌のおかあさんコンクール〜グランプリ大会」から始まりました。

そこで生まれた二十数名のリーダーは、地域に確実にひとの“輪”を築き、成果をあげてきています。同時に「市民文化育成講座」を開講し、「プロデューサー講座」、「舞台製作講習会」(初・中・上級)は、市民自らの手で企画・制作が可能になることを願ってのことでした。

更に、「歌える会」(?T〜?Y期)、「声楽特別講座」(?U期)へ続き、また企画に応じて「こどもの国・児童合唱団」(?V期)「クリスマス児童合唱団」(?U期)「クリスマス混声合唱団」、「母の日・ファミリーコーラス」などの公募による団体の育成を図ってまいりました。

一方「ファミリーソングライターズ・クラブ」などの作詞・作曲の会が結成され、また「サンシテイ音楽院」では、指揮・編曲の修了生も生まれました。

そして、全国展開での“ワークショップ・リーダー”(音楽の本質をクラシック・ポップスを材料に、参加型研修として楽しめるノーハウを持ったひとたち)も多数誕生いたしました。

それらは、ひとつのステージ作りが可能となる材料が揃ったことになります。

また一方で、市民が出演できるミュージカルの上演をしてほしいと言う『声』も多数寄せられ、市民の関心度も高いことが明確化されてきたわけです。

それらの集大成を、「総合芸術」として市民の手作りによって実演されるのが、今回のオリジナルミュージカル「美咲ファンタジー」であります。

 

 

“美咲”の背景にあるもの

ジャーナリスト 松田博司

いま注目の“サンシティ越谷市民ホール”が「オリジナル・ミュージカル」を制作・上演するそうだ。珍しくない企画ではあるが、私なりに関心を持ったことを述べさせていただく。但し会議資料とシナリオ・練習風景を垣間見ただけの分析なので、全て言い当てているわけではない。

ストーリー自体は何処にでもある、他愛のない話しである。「二重構造」の発想も結構だが、出演者の顔を見て、出番や役割が均等になることを前提としてシナリオを組み立てられた点が面白いことだろう。

しかしその他愛のない話しも、見方を変えてみると異なった一面が現れる。“魔法”がどうの、という設定は陳腐な手であるが、ここでは現代でいう“幽体離脱”のようだ。メルヘンの国とはいっても、死んだひとから女神・妖精、黒の世界のひとびとが混在していて、国籍不明の歌が続く、となると「ひとびとの意議の世界の展開」としか説明がつかないだろう。ただその奥に「愛は宗教をも超えて」という主張を読み取ることができるかも知れない。

亡き母の「逃げてはいけない」という叫びには強い意思が感じられる。つまり参加者の多くは、また元の生活に戻ることになる。それはこれから起こるであろう参加者のさまざまな苦境の時のエールが、既に制作陣から贈られているのではないだろうか。

学芸会的“市民ミュージカル”が多いのが現状である。このミュージカルもどう仕上がるか予断は許さないが、かなりな水準にきてきているはずだ。そして最後の評価は当日のお客さま、ということになる。

 

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