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「環境」の位置づけをどう認識するかが肝心だと思っています。

 

鈴木:前にも述べましたが、地球環境保全は、人類全体にかかわる問題ですから、それに伴う負担は社会の全員で負うべきだと思います。

企業は、環境負荷の少ない良い製品を開発することに、努力をはらうべきだと考えています。

 

石川:これらは、いつも問題になっています。環境保全活動にかかる費用をどう考えるかは、企業の基本的姿勢を問われることだと思います。このための活動にかかる費用は、将来的にはコストダウンにつなげるための費用だと考えています。

また、公共事業の受注については、環境コストを見積もる方向に進めていくということもしています。

 

石井:コストの問題については、ISO14001の認証を取得した工場は、目標を達成すればコストが必ず下がると考えています。私共の企業の例をとると1991年からの電力使用量グラフを見ても明らかです。製品企画・デザインスタッフをあげてコストダウンに取り組んでいますが、それが同時に小型化や部品数の削減などの成果を生み、結局は環境負荷低減に結びついています。

 

質問(4):企業と下請けや関連企業との関係はどうなっていますか。一番上の企業の意図を分かってもらっているのでしょうか。

 

佐藤:事業所(場)のEMSについて考え方なりシステムなりを伝達し、協力をお願いしています。松下側の構内に常駐する企業の方々については、実践面での協力をお願いしています。

EMS構築については、各協力会社の自主的な取り組みをお願いしています。

 

鈴木:本来は、この問題については各社各々が自主的に取り組むものであると思います。

勿論、関連情報の提供や、対応に困っている時は技術協力等の支援などを行っています。

 

石川:最初に申し上げたように、協力会社の役割は重要であると考えています。やはり私たちと足並みをそろえる必要がありますから、本支店ごとに協力会社が年に何回か集まる会がありますので、そこへ出向いて説明をしたりしております。また会社報でもPRをしています。

 

石井:私のところでは、下請けはほとんどありません。工業団地の中で取り組んで、一緒に活動できたことを喜びあえました。

 

土屋:まだ、いろいろあるようですが、ここで会場からの質問を終わらせていただいて、助言者の小幡先生にまとめのご意見をいただくことにします。

 

小幡:皆さんの熱心な討議を聞かせて頂き、気づいたことを2〜3申しあげます。

この問題を考えるためには、基本的なことですが、コストとのかかわりから企業利益とは何かをいま一度考えてみる必要があります。エコビジネスが35兆円産業といわれていますが、単純に現在のGDPに35兆円分がプラスされるとはいかないでしょう。内容は複合的になるからです。

産業の組み替え・産業構造の組み替えが起こり、利益連鎖があると思われます。例えば、ISO認証などで省エネルギーを徹底すれば、電力会社の売り上は下がるかもしれない。それによって電力会社は他のエネルギー供給事業を展開するとすれば、関連企業の新規事業となるかもしれないということもあります。

こうした面とは別に、「共生・共創」をめざす新しい産業構造の変化が起こってくるでしょう。

構造改革によって産廃物やCO2の削減が必要です。環境保全活動の芽は出ていますので、問題はそれが大きな輪になれるかどうかです。

環境危機への意識からゼロ・エミッションを

 

 

 

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