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高いといえる。M100が流出または漏出すると、同量のディーゼル燃料が流出したときよりもはるかに多量の引火位の燃料/空気の混合気が生じる。ガソリンの揮発性はメタノールよりも高いため、ガソリンと比較したメタノールの貯蔵に伴う火災の危険性はほぼ同じかやや低いといえる。しかしながら、M100の爆発限界は、ガソリン(1.4%〜7.6%)よりはるかに幅があり(6.7%〜36%)、同量の燃料が流出あるいは漏出(容積)しても、メタノール/空気の可燃混合気のほうが、外部の火元と接触する可能性は高い。

 

大部分の自動車用代替燃料の爆発限界の範囲は、燃料の最高温度とかなり無関係なものである。例えば、M100がわずか摂氏22度(華氏70度)の最高気温に曝されただけでも、摂氏22度かつ常圧における同程度の蒸気圧での約13%メタノールの最大体積濃度に達することが可能である。このため、実際のメタノールの爆発限界の範囲は、他の自動車用代替燃料の範囲ほどは大きくない可能性もある。

 

M85は主に、小型および中型のガソリン・エンジンのための自動車用代替燃料として使用することが考えられている。混合気の燃料蒸気は主としてガソリンからできているため、M85の揮発性および爆発限界は、ガソリンのそれと酷似している。従って、ガソリンの貯蔵方法を参考にする必要がある(主としてあらゆる外部の火元の存在を最小限にするように設計されている)。更に、メタノールの場合、貯蔵タンクの装置がメタノールに耐性があるものでなければならない。

 

3.3.1.2 健康に関する事項

 

メタノールの被曝は、蒸気の吸引あるいは液体燃料の摂取、もしくは皮膚への付着を通じて生じる。メタノールの有害性は、被曝の形に関係なく同じである。メタノールは揮発性が高いという事実を考えると、メタノール蒸気の吸引が被曝の典型例であろう。

 

メタノールは、吸引被曝した場合に最も有毒であると考えられている。燃料蒸気の被曝許容濃度(TLV)が燃料の毒性の尺度になる。これは、1日当たり8時間労働、あるいは週40時間労働の時間加重平均濃度(TWA)のいずれかの条件で表示される、もしくは15分間の被曝という許容される最大値を表す短期の被曝限界(STEL)として表示される。メタノールの時間加重平均許容濃度(TLV-TWA)は200ppm、短期暴露許容濃度(TLV-STEL)は250ppmである.他の自動車用代替燃料は少なくとも、これより5倍高い値(TLV-TWA)を持っている。自動車用代替燃料のうちのいずれもが、NFPAでは、消火活動中の潜在的な被曝に基づく重大な健康に対する危険性とは見なされていない。

 

興味深いことに、従来のガソリンは、メタノールの数値(200ppmに対し300ppm)に近い時間加重平均許容濃度(TLV-TWA)を持っており、そしてガソリンはより揮発性が高い。 従って、これら双方の燃料の毒性の被曝リスクは、近似している。灯油(ディーゼル燃料の代表として)の時間加重平均許容濃度(TWA)はわずか14ppmであり、ディーゼル燃料の蒸気は明らかに、メタノールやガソリンより毒性が強い。幸いなことに、ディーゼル燃料は常温では揮発性が低く、蒸気の被曝はさほど問題とはならない。

 

M85による健康面の問題は、M100と同様である。メタノールおよびガソリンの相対的な蒸気の毒性および揮発性を考えた場合、M85は、M100に健康に対する危険性と同じ程度で考察されなければならない。

 

M85およびM100双方の大量輸送と貯蔵にかかわる人々は、適切に設計されたタンクや配送パイプ、メタノールに耐性のある材料の選択、保護用具の使用、事故による被曝を回避

 

 

 

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