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第1章 調査の概要

 

1. 調査の背景と目的

 

近年におけるわが国の経済社会は、情報処理技術や通信技術の目覚ましい進歩と、国民ニーズの多様化・高度化や産業構造の変化等とあいまって高度情報化社会の形成に向けて急速に進展してきている。

特に、産業分野においては、グローバル化が進展する中でわが国産業の国際競争力を維持するため、国内物流の効率化、コストの低減が求められていることから、荷主企業は情報システムを活用した生産・在庫・販売・輸送のトータル的な管理システムの構築を推進している。このため、生産と消費をつなぐパイプ役として重要な使命を担っている物流業界は、その一翼を担う高度に情報化された輸送システムの形成が期待されており、特に、トラック運送事業にあっては、国内物流の主要な担い手として、運行システムの合理化・効率化や在庫管理、時刻指定輸送等が強く求められている。しかしながら、九州地方のトラック運送事業は中小事業者が主体であり、事業環境の厳しさからこうした要請に十分対応しきれていないのが現状である。

一方、九州は、関東、関西などの大消費地から離れていることや離島が多いという地理的な特性もあって、物流における陸・海の効率的な連携が望まれており、物流モードを超えた情報化の推進が必要である。また、アジアのゲートウェイとして増大しつつある国際海上コンテナについても、国際中枢港湾機能の一環として、港湾と陸上交通が一体となった情報機能の構築が必要となっている。

そこで本調査においては、九州におけるトラック運送事業を中心とした物流事業について、物流ニーズ変化の動向及び物流EDI(電子データ交換)やシステムKIT等物流情報化の実態を整理するとともに、中小事業者を含めた国内物流情報化の推進方策及び国際・国内の輸送モードを超えた陸海一貫した情報ネットワークの形成についての基本方向を探ることを目的とする。

 

 

 

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