(4) 航路事業維持のとりくみ
天草地域は架橋の整備により大半が離島ではなくなったが、旅客航路は地元住民の生活における重要な公共交通機関として位置づけられる。
旅客航路は、一部事業者を除いては経営的に厳しい状況にあることから、今後、航路の必要性や維持整備のための方策などについて、航路事業者を中心として国をはじめとした関係者も含めて検討していくことが必要である。
(5) 旅客航路整備の方向
県下の旅客航路の整備の方向については、次のような点が重要と考えられる。
?旅客航路ネットワークの整備
旅客航路利用者アンケート調査によると新設航路の希望は、本渡港発着の航路が最も多く、ついで熊本港発着の航路である。
熊本港は背後地に熊本市を擁しており、近年熊本港発着のフェリーが増えてきている。また港湾施設及びアクセス道路の整備により、今後ますます熊本港の利便性が向上するものと考えられることから、熊本港を拠点とした旅客輸送のネットワーク化の要請が強まってくるものと考えられる。
今後はこうした動きを踏まえた方向での整備が期待される。
?旅客ターミナルの整備
熊本県下の主要な旅客航路としては、利用客の多い「長洲〜多比良」「熊本〜島原」「三角〜島原」「鬼池〜口之津」、それに平成9年に新設された「熊本〜本渡」等である。これらの航路の発着港となる長洲港、熊本港、三角港、本渡港、鬼池港は、いわゆる人流の拠点港であり、三角港、熊本港には既に旅客ターミナルが整備されているが、長洲港、本渡港、鬼池港については早急な整備が求められる。
県下の旅客航路は、観光客のウェィトが高い。特に観光について考えると、これらの港は海の観光がスタートする起点であり、本渡港は天草の玄関港である。そのため、これらの港については、海や天草の魅力を予感させるようなターミナルの立地整備が望まれる。