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第6章 熊本県下における旅客航路の整備と活性化策及び物流拠点整備のあり方

 

熊本県下における旅客航路・物流拠点整備についての課題が整理されたが、これらを踏まえて、今後の県下の旅客航路整備と物流拠点整備のあり方について検討する。

 

1. 旅客航路整備のあり方

熊本県下の旅客航路は、天草五橋の開通や居住人口の減少、道路の整備によるモータリゼーションの進展などから利用者は漸次減少傾向にあり、採算的にも厳しい状況にある。 県下における旅客航路の課題としては、旅客航路事業者が採算を確保し安定した経営をいかに行うかである。このための方策について次のとおり検討を行った。

 

(1) 天草地域観光客の拡大策

旅客航路の主要な需要を構成する「旅客航路背後圏」の市町村の居住人口は、ほとんどの市町村が減少ないし停滞で推移しており、この居住人口の増加については期待できない状況にあることから、旅客航路の需要増のためには交流人口の拡大を図ることが必要である。本地域については、交流人口として旅客航路の需要増が期待できるのは観光客である。例えば、天草のホテルが一泊ツアーを企画し、その中で片道を旅客船利用としたところ旅客船の売り上げが伸びたとの声も聞かれた。このように「観光客の誘致」とそれを「旅客船利用に結びつける仕掛け」が重要となる。

観光を中心とした活性化策による旅客需要の開発については、旅客航路事業者や観光関連業者、行政、地域住民の協力が必要である。

この方策についての詳細は、次章に整理した。

 

(2) 旅客航路事業者の経営改善

旅客航路事業の経営基盤の確立のためには、まず当事者である旅客航路事業者の取り組みが重要であり、その方策として次のことが考えられる。

 

?需要開拓

定期客だけでなく、不定期客をねらった商品を開発する努力や旅客船をとりまく関連分野との連携による商品開発や営業努力によって新しい需要を開発していくことが必要である。

例えば、次のようなメニューが考えられる。

 

○ワンナイトクルージング、納涼船、観光周遊ルートなどの企画商品の開発

○ホテル、旅行代理店とのタイアップによる企画商品の開発

○JR等他の交通機関とのダイヤの連携及び船・JR等をワンセットにした割引切符の発行

 

?コスト削減の方策

採算性を確保するためには支出をいかに抑えるかが重要である。これまでも個々の事業者においてはコスト削減の努力を行ってきたところであるが、今後も更なるコスト削減を図る必要がある。

また、個々の事業者を超えて、事業者間の共同化についても次のことを検討する必要がある。

 

○燃料、消耗品等の航路事業者同士の共同購入

○代替船の共同所有又は相互融通

 

 

 

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