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平成8年度調査結果の要約

 

(1) 背後地の現況

本県における旅客航路は、ほとんどが生活航路であることから、その背後圏は、天草と有明海沿岸の市町村に限られる。しかし4つの重要港湾を中心とした物流機能に着目すると、背後圏は福岡県南部、熊本県一円、鹿児島県北部に広がる。

ここでは、背後圏として、この2つの観点から、旅客航路背後圏(第1章第1節で掲げた対象範囲)と、物流のメインの背後圏である熊本県に注目してその動向をみていく。

?旅客航路背後圏の動向

・人口の伸びをみると、ほとんどの市町村が減少傾向にあり、増加の市町村はごくわずかである。「旅客航路背後圏のうち熊本市を除く熊本県内の合計」でみると、平成4年から平成7年にかけての伸び率は−1.1%(全国平均0.9%)である。また、同地域内の平成7年での高齢化率をみると20.6%(全国平均14.4%)とかなり高齢化が進行している。

・昭和61年から平成2年にかけては全国的にかなり高い水準で従業者数は伸びており、旅客背後圏の市町村でもほとんどの市町村がプラスの伸び率となっている。しかし、同上の圏域の伸び率は6.4%と、熊本県全体の伸び率10.3%、全国平均10.4%に比べるとかなり低い。

・平成3年から平成6年にかけての小売業年間販売額の伸びをみると、同圏域では3.0%と全国平均(1.9%)を上回って順調に伸びており、観光客等の伸びもその一因と考えられる。

・平成2年から平成4年にかけての工業出荷額の伸びでは、同圏域で4.9%と全国平均(1.9%)を上回っている。

・観光客数は平成3年で落ち込んだものの、その後は順調に伸びている。とくに日帰り客、県内客の増加が大きく、観光ニーズの「安・近・短」の傾向がみられる。

?物流機能におけるメインの背後圏である熊本県の動向

・平成4年から平成7年にかけての人口の伸び率をみると、熊本県では0.6%と全国平均(0.9%)をやや下回っている。高齢化率(平成7年)については熊本県は18.0%で全国平均(14.4%)を上回る。

・昭和61年から平成2年にかけての従業者の伸び率は熊本県は10.3%でほぼ全国平均(10.4%)並である。

・平成3年から平成6年にかけての小売業年間販売額の伸びをみると、熊本県は3.6%と全国平均(1.9%)をかなり上回っている。

・平成2年から平成4年にかけての工業出荷額の伸びでは熊本県は7.3%と全国平均(1.9%)をかなり上回る高い伸びとなっている。

・貨物輸送の機関別分担をみると、熊本県は鉄道、海運のウェィトがかなり低く、トラックへの依存が大きい。

・輸送量の推移をみると、平成2年までは上昇傾向にあったが、平成3年で落ち込み、その後横バイといった傾向で推移している。

・熊本発着の貨物は県内流動がもっとも多く、県外では福岡県との流動が大きい。

 

 

 

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