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序章 調査目的と調査の概要

 

1. 調査目的

 

有明海〜八代海一帯を中心とした熊本県下における海上輸送については、その拠点となる港湾として熊本、三角、八代、水俣の4つの重要港湾があり、旅客航路として一般旅客定期航路が26航路(内、フェリー航路12航路)がネットワークを形成している。

近年、熊本県下における産業構造の変化は著しく、来るべき21世紀において、港湾を核とした輸送体系の整備が期待されている。熊本港と八代港においては、九州横断自動車道延岡線や南九州西周り自動車道が計画され、アクセス条件の改善による背後圏の拡大が予想される。特に、八代港においては飼料関連企業の進出により、飼料コンビナート形成が急ピッチで進展している。更には、FAZ(輸入促進地域)との連携や、TSL寄港の誘致といった動きもみられ、国際貿易を視野に入れた港湾を中心とした物流拠点の整備が進められており、今後益々その役割は重要となっている。

一方、旅客航路については、その大半が地域住民の足としてのいわゆる生活航路であり、これらは、架橋及び島内道路の整備と過疎化の進行による利用客の減少に加え、運航コストの上昇等により、航路経営は悪化の一途を辿っている。

このような現状のもとで、県下主要港湾における海上輸送は、熊本・八代港を中心とした物流拠点整備及び周辺旅客航路の活性化について、緊急な対応が求められている。

そこで、本調査においては、県下の4つの重要港湾については、それぞれの港湾と港湾をとり巻く背後圏における物流動向や、物流業者、荷主からのニーズ等を把握し、将来計画を踏まえてその特性を生かした機能分担のあり方と、これに対応した拠点整備のあり方、及び活性化方策の策定、更に、周辺旅客航路の総合的な維持改善策等を検討し、当該海域に適した海上交通体系の整備方策を提言することにより、同経済圏における海事産業の発展と地域経済の振興に寄与することを目的として実施するものである。

 

 

 

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