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3.2 表示情報の検討

 

2章の検討結果より、朝ラッシュ時における東西線の中野方面行電車では、西葛西駅に到達した時点ではほとんどの列車、車両の混雑度が200%以上となってはいるものの、中には180%の車両が存在する。つまり朝ラッシュ時においても車両間、列車間で混雑度にばらつきがある事がわかった。従って、混雑度の高い列車、車両に乗車しようとしている乗客に、混雑度の低い車両、列車に乗車してもらうように誘導する事で、乗車時間の短縮がはかられ、結果として駅停車時分の増大防止、列車遅延の抑止につながる事が期待される。このため、乗客誘導案内装置の表示内容は、混雑度の高い車両に乗車しようとしている乗客を、混雑度の低い車両、列車へ誘導できるものでなければならない。

 

(1)車両毎,列車毎の混雑度

 

本研究の狙いである、車内混雑度の時間的、空間的な平滑化を達成するために必須の情報である。車両毎、列車毎の混雑度表示を見て乗客が混雑度の低い車両、列車に移動してくれる事を期待して本情報を表示する。

 

(2)次列車(こんどの列車)、次々列車(次の列車)の到着予測時刻/出発予測時刻

 

次列車と次々列車の混雑度を比較して、次々列車の混雑度の方が低いため、次列車を見送って、次々列車に乗車しよと判断するためには、次々列車の到着時刻または出発時刻がわかっている事が必要であると考えられる。次々列車の方が混雑度の低い場合でも、次列車の到着時刻との間に大きな時間差があれば、次列車に乗車する可能性が高いためである。尚この時刻は計画ダイヤ上の時刻ではなく、列車遅延時には遅延を反映する、予測時刻である。

 

(3)次列車(こんどの列車)、次々列車(次の列車)の存在位置

 

次列車、次々列車の到着予測時刻と同様の目的から必要となる情報である。到着予測時刻は、具体的情報ではあるが、精度が確実には保証されないという問題点がある。一方列車の存在位置はその時点での事実を忠実に表現はしているが、何分に到着するかについては各人の頭で存在位置をもとに推定しなければならない。

尚、次列車、次々列車の存在位置の表示については、既にいくつかの事業者で実現している。

 

 

 

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