日本財団 図書館


的にケア提供者だった既婚の息子と嫁と同居する高齢者へのケア提供のために使える時間が、平日には減少していることである。女性の職場進出は、1986年の45.6%から徐々に増加し、1996年には51.5%となった。第二に、30-39歳の独身女性の人口が、1980年の13.4%から1995年の17.5%に増加した。高齢者の主要なケア提供者は、既婚の息子と嫁から、未婚の娘にどんどん取って代わられている。

 

高齢者の大多数は家族と同居しているが、その一方で、高齢者が一人または配偶者と住み、結婚した子供が両親と離れて自分たちの家を持つ傾向もある。一人または配偶者と暮らしている高齢者は、身体が弱くなり病気がちになり援助が必要となった時のみ、特別の注意をはらってもらえる。共同体のプログラムや社会サービスが、これらの二つのグループの人々に手をさしのべ、追加の社会的援助を提供しなければならないかもしれない。既婚女性の職場への進出が増え、高齢者は子供の世話に貢献した。高齢者は、孫の世話をすることで、子供の子育ての負担を軽減した。この様な家族の福祉への貢献は、家族の絆や相互義務の強化に役立っている。将来の高齢者は高い教育を受け、もっと裕福になると思われるので、彼らは、子供からの財政的援助に頼ることが少なくり、そのため、子供世代の財政的な負担は軽減されると思われる。

 

4. 高齢化対策の発展

 

シンガポールでは、高齢者問題の認識は1970年代初めに出てきた。この時代、貧しい移民の高齢者の福祉問題に対処するため、高齢者向けサービスがいくつか策定された。これらの努力には多くの注目が集まったが、高齢者サービス計画は依然として分野別のままで、主として既存の社会福祉計画の延長として扱われた。この問題と高齢者の要求に対する懸念が広まったのは、高齢化する人口の持つ深刻な意味が徐々に認識されてきた1980年代になってからのことだった。

 

政府が最初に対策に乗り出したのは、1983年の高齢者問題閣僚委員会の設置に反映されている。シンガポールの高齢化および高齢者の状況を理解するため、同委員会は、その年に、包括的な高齢者の全国調

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION