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バタフライに関する調査研究報告書

 事業名 水泳の普及振興
 団体名 日本水泳連盟 注目度注目度5


しかしながら,当時この泳法が必ずしも勝利に直結したわけではなく,日米対抗戦においては,100m,200mともにオーソドックス平泳ぎで泳いだ日本の小池礼三選手が優勝しており,いずれの選手も勝つに至っていない。

日本人として最初のバタフライ泳者は山田弘選手といわれている24)。山田選手は1937年の日本選手権において招待選手として呼ばれたアメリカのヒギンス選手に勝ったものの,同大会の平泳ぎ種目優勝者は,100mでは小池礼三選手,200mでは葉室鉄夫選手であった。このように当時の日本においては,バタフライが従来のオーソドックス平泳ぎに勝つことはなく,そのため日本国内ではバタフライ無用論まで噴出した。

このような世論を受け,1939年,日本水泳連盟はバタフライに対する興味本位の流行が平泳ぎの発展向上に与える悪影響を防ぐという理由から,小・中学生のバタフライ使用を禁止した24)。後に見られる成績から推察して,実際にバタフライ式平泳ぎが,オーソドックス平泳ぎよりも劣っていたというわけではないと思われるが,このような措置を施すに至った理由としては,当時世界でもトップレベルにあった小池選手,およびその後台頭し,ベルリンオリンピックの200m平泳ぎ優勝者となった葉室選手などの全盛期と,バタフライが導入された時期が重なったことも少なからず関係しているであろう。このバタフライ使用禁止令を境に,日本ではその後10年間バタフライはほとんど泳がれず,したがってバタフライ式平泳ぎとしての記録も発展しなかった。

バタフライの使用禁止令後約10年経過した1948年,日本学生選手権において,竹林寺文雄選手が日本人として初めて200mバタフライを完泳した2)4)24)。ちなみにこのレースの優勝者は杉山祐二選手で,竹林寺選手は勝つに至っていない(100mでは竹林寺選手が優勝している19)。前述したように,1948年といえば,同年開催されたオリンピックの平泳ぎ決勝レースではほぼ全員がバタフライ式平泳ぎを用いるほどにまでに普及していた頃のことである。したがって,日本はバタフライへの取り細みは完全に遅れをとったと言わざるを得ないが,それでもバタフライ式平泳ぎを見直す大きな出来事にはなった。このことは,その翌年以降の展開から想像に難くない。

翌1949年の同大会ではバタフライ式平泳ぎの泳者が続出した。100m平泳ぎでは,4位までがバタフライ式平泳ぎ泳法であり,優勝者の萩原孝男選手は前年の記録を3秒6短縮している19)24)。また,200mにおいても前出の竹林寺選手が優勝しており,これも前年の記録を5秒以上短縮する好記録であった。このようにこのころからバタフライ式平泳ぎの普及とともに記録も向上し始めた。

さらに1950年には,ついに日本選手権の平泳ぎ種目において,100mでは清水敏夫選手が,200mでは萩原孝男選手が,それぞれバタフライ式平泳ぎで優勝を遂げた20)。記録は,それぞれ1分22秒2と2分42秒2であった。また,この年の日本学生選手権においても,100m,200mともにバタフライ式平泳ぎの泳者が日本新記録を樹立して勝っている。ここに来てやっと,バタフライ式平泳ぎがオーソドックス式の平泳ぎと同等以上に戦えることが,日本においても証明された。

1954年,世界にならい,日本でもバタフライが新種目として採用された。日本選手権における初代優勝者は,100mが安岡信夫選手,200mが長沢二郎選手であった2)20)。記録は,それぞれ1分07秒6と2分31秒4であり,4年前の日本選手権で初めてバタフライ式平泳ぎが優勝した記録よりも,100mで約15秒,200mでも約12秒の飛躍的短縮が見られている。また,この大会の平泳ぎにおける優勝記録(100mが1分11秒8,200mは2分41秒4)と比較しても,バタフライと平泳ぎとの間に大きな記録の差が見られ,それ以上同一種目として混泳することが困難となっていたことが容易に推測できる。

 

 

 

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更新日: 2019年4月20日

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