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付記フランスおよびジュネーブのWHOにおける討議について

 

フランスでは国立自然科学博物館にてProf.Chabeaud、Dr.Landau、Dr.Boulard、Dr.Bayssade-Dufour、Dr.Albertなど主として寄生虫研究部の人たちとフランスが行っているアフリカの寄生虫症対策について討議をし、現在日本にはないビルハルツ住血吸虫の抗原の分与依頼など今後の共同研究についての打ち合せを行った。中央アフリカ共和国に対することではフランス軍は引き揚げるものの、バンギーにあるパスツール研究所は現状のまま存続させ、人員の削減も行わないとのことであった。また医療関係についても民間団体から医師を継続的に派遣するなど、従来と大きく変わることはないとのことであった。また研究関係の人たちも現地の医学部のスタッフと連絡をとりながら材料の手配を始めとする共同研究を行うことになっているとのことであった。熱帯病の専門病院でアフリカからの患者の多いパリ第5大学付属病院でもあるピテイエ病院のProf.Danisとの討議では国立自然科学博物館での話合いと同様に中央アフリカ共和国を含めたフランス語圏のアフリカ諸国の寄生虫症の現状、特にマラリアの薬剤抵抗性の問題や住血吸虫症対策など、今後の対策について討議すると同時にフランスでも問題となっている輸入寄生虫症について意見交換を行った。わが国では輸入マラリアの症例は年間約110例で、海外渡航者の増加に伴い近年増える傾向が見られているが、フランスでは既に年間約2,000〜3,000例の症例があるとのことであった。ピテイエ病院には多くのアフリカからの移住者や旅行者が来院するので、マラリア以外にトリパノソーマやリーシュマニアに罹患した症例にもしばしば相遇するとのことであった。

WHOではTDRのDr.Hataに今回の検査結果を報告した後、事務局次長のDr.Hendersonを表敬訪問して今回の結果を報告すると共に中央アフリカ共和国の医療の現状を伝えた。また1998年1月に事務局次長名で辻あてに届いたWHOのExpert Advisory Panel on Parasitic Diseases(Schistosomiasis)Membershipの任期延長について受諾する旨を伝えて今後の方針を討議するとともに来る8月に日本で開催される第9回国際寄生虫学会についての説明を行い、また新事務局長の出席と基調講演の依頼を行った。その後、CTDのDr.Behbehani部長およびDr.Karamとアフリカ問題について討議をし、さらに来る5月にイギリスのバーミンガムで開催されるサミットで日本の橋本総理が提案される国際寄生虫対策についての討議を行った。なおWHOで得た世界における寄生虫症の現状は表4に示す通りである。

フランスおよびWHOにおける討議は何れも今後のアフリカを含めた世界の寄生虫対策、特に国際協力援助関係で有意義であった。

 

 

 

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