日本財団 図書館


られた。

一昨年度の報告書にも記したが、今回の調査でもマンソン住血吸虫症患者のみならずビルハルツ住血吸虫症患者が存在しているので、今後は中間宿主対策についても再検討を行うことが必要である。同様にマラリアやフィラリア対策も媒介蚊対策を含めて今後は何らかの方法を模索しなければならないと思われる。

中央アフリカ共和国の経済状態をみると、これらのプロジェクトを同国のみで遂行することはかなり困難であると言わざるを得ないが、近い将来に同国のみでの保健衛生対策が確立されることを期待したい。それまでは中央アフリカ共和国に対する援助の継続は必要であり、また好ましいと判断される。

また在バンギー日本大使館の朝日大使を始め大使館員の方々も我々の調査団が中央アフリカ共和国で行っている仕事が現地で高く評価されていることを周知しておられ、中央アフリカ共和国に対する医療援助の継続を強く希望しておられた。今回の調査に関しても昨年度に別送した器材の受領、保管など大使を始め大使館員の方々に多くのお力添えを戴いた。特に今回は初代在バンギー大使館の医務官として私どもの仕事にもずっと同行して下さった斉藤先生が、これが本当の国際協力援助だと本調査団の意義を高く評価され、現地の人たちのためにも是非可能な限り継続して欲しいと言われたことは感激であった。

中央アフリカ共和国政府は内紛の後で、政情がまだ完全に安定していないのであるが、私どもの調査期間中はこれまで日本で研修を受けた医師や調査団と一緒に現地で仕事をした看護夫や技師など多くの人達を同行させるようにするなど常に笹川記念保健協力財団に対する配慮がなされている。またこれらの人達を実地医療の中心に据えるなど、技術協力の成果は実りつつあると思われる。

毎年述べていることであるが、中央アフリカ共和国における笹川記念保健協力財団の医療協力計画が占める位置は大きく、その継続が強く望まれている。また先にも述べたごとく在中央アフリカ共和国の朝日特命全権大使始め斉藤医務官など現地日本大使館の館員の方々も医療面における本財団の援助および調査団の業績を評価され、大きな期待を寄せられている。

笹川記念保健協力財団で実施している本計画の評価は中央アフリカ共和国のみならず、毎年辻が報告に立ち寄るWHOの席上でも高く、特に中央アフリカに関する医療データーは私どもの調査団の報告のみであるとのことで、他のアフリカ諸国関係者の間でも話題となるなど今後もその継続が望まれている。日本大使館も常に協力態勢をとって下さり、本計画は特別な政治上での急変がない限り、順調に進むものと思われる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION