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中央アフリカ共和国協力計画

 

1997年度調査報告書

 

(寄生虫対策調査)

 

辻守康、積山宝、安住義克

 

要旨

 

昨年度(1996年度)は供与器材が現地に到着したものの、調査団の出発直前になって内乱が勃発し、その後も4回に及ぶ銃撃戦が展開されたため現地調査を断念した。今回の調査まで供与器材はバンギーの日本大使館に保管して戴き、今回の調査使用後に現地中央アフリカ政府の保健省に供与した。

本年度の調査は現地日本大使館と連絡の上、平成10年3月6日から3月20日まで辻、積山、安住の3名が現地に赴き実施した。中央アフリカ共和国では我々の調査をずっと待っており、内乱のために半減していた自動車も特に保健省で手配された。空港には斉藤医務官、前川書記官、衛生省のリンバッサ医監が迎えに来ていた。

今回は現地の情勢は一応落ち着いているものの地方には反政府の反乱軍やゲリラが出没するとのことで、首都近郊のウワンゴ地区とバンザ村を対象として調査を行った。また当初は10日間の検診予定であったが、帰路のエアフランス便が廃止されることになったので、朝日大使の意見も伺い、検診日程を6日間に短縮した。ウワンゴ診療所では予め通知をしていたので、受診希望者が例年の約3倍であったが、毎日10時間の検診を行って受診希望者全員について実施した。またバンザ村へは日本大使館のアドバイスで憲兵の護衛を依頼して同行、何事もなく検診を行うことが出来た。

ウワンゴ診療所では789名の糞便検査と252名の尿検査を、またバンザ村では40名の糞便検査と33名についての皮膚生検を実施し、その結果に基づいて駆虫剤の投与を行った。

検査成績はウワンゴ診療所では厚層塗抹法による糞便検査で789名中169名(21.4%)が嬬虫卵陽性で、特に鉤虫が85名(10.8%)、蛔虫が58名(7.4%)、マンソン住血吸虫が24名(3.0%)であり、尿検査では252名中10名(4.0%)がビルハルツ住血吸虫陽性であった。またバンザ村では厚層塗抹法による糞便検査で40名中8名(20.0%)が蠕虫卵陽性であり、釣虫感染者は6名(15.0%)、蛔虫およびマンソン住血吸虫感染者が各々1名(2.5%)であったが、33名について行った皮膚生検では全員がオンコセルカ陰性であった。なお40名の中健康手帳保有者は21名で、新たに健康手帳を交付した者は19名である。健康手帳保有者の蠕虫感染率は28.6%、今回初めて受診した人達の感染率は10.5%で、新しい受診者の殆どが首都から引き揚げて来た人達であり、健康手帳保有者をみても一昨年の38.4%に比し減少傾向がみられ、これまでの衛生教育の成果によるものと判断している。特に蛔虫陽性者は前回に全員が陰性であったが、今回は首都から帰村した1名のみが陽性であり、村の診療所の看護士に今後の注意

 

 

 

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