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7. 結言

 

近年、車両の軽量化とともに、1輪軸あるいは1軸の独立回転車輪を用いた連接車両や1車両に2輪軸を配置した方式など、編成中の車軸の数を減らす工夫を施した新方式の列車が、欧州において次々と開発され、実用に供されてきた。これらに用いられる1軸台車は、最も基本的な車両構造として使用されてきた従来の2軸車両とは異なり、高速走行安定性の確保、曲線旋回性能や乗り心地の向上を図った新世代の台車である。その結果、都市交通を始め地方交通線における鉄道の利便性や快適性の向上をもたらし、床面の低床化による移動制約者・高齢者への配慮ともあいまって、鉄道の活性化に大いに貢献している。

本開発は、このような背景を踏まえて、開発目標を第三セクター鉄道を始めとする地方線区用軽量内燃動車、都市内交通用ライトレール車両などとし、我が国の実状に最適な1軸台車の構造を探求したものである。本年度に得られた成果は以下の通りである。

 

1) 国内外で開発されている1軸台車を網羅し、文献と実地調査により1軸台車の現状技術を把握した。

2) 開発と実用化の状況から、都市交通用車両、地方交通線用車両における1軸台車の将来性を明らかにした。

3) 理論解析により、輪軸方式の1軸台車の走行安定性、曲線通過性能および軌道狂いに対する振動動揺乗り心地特性を把握し、1軸台車の適用性を確認するとともに、使用目的・運用状況に応じた最適化の方向を示した。

4) 我が国の実状に最適な高性能・低コストの1軸台車の基本設計を進め、走行試験実施の見通しを得た。

 

以上の成果から、1軸台車は、経済的で高性能の鉄道車両として、都市交通や地方交通線のみならず、一般の鉄道車両への発展性が期待される。

今後は、本年度の成果を基に、1軸台車の理論を確立するとともに、基本設計に基づいた1軸台車の試験台試験等を実施し、性能の検証、開発した1軸の技術評価等を行い、実用化に向けた開発研究を進める予定である。

 

 

 

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