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関する章に吸収される形で、地方自治法が、プダペシュトの地方自治に関する詳細も規定している。以下、首都の地方制度の特徴、首都地方自治体の組織、業務・権限、財政の順序で述べることにしたい。

 

(1) 首都地方制度の特徴

 

首都の地方制度における最大の特徴は、それ自身が二層構造を有している点である。すなわち、首都には、基礎自治体と広域自治体の性格を併せ持つ首都地方自治体と基礎自治体としての23の特別区が存在しているのである(各区については、図表7を参照)。地方自治法においては、各地方自治体の関係における同等性が原則であり、そのことは、県と市町村の関係にも適合する。しかし、後述するように、首都地方自治体と特別区との関係には、若干の階序的性格が含まれる。

なお、特別市においても区の設立が認められているが(地方自治法第61条(3))、特別市の区は地方自治体として認められていない。したがって、特別市の区には区長および区議会を設けることができるとはいえ、その主導権は、特別市の議会および特別市の市長が掌握しているのである(同条(4)および(5))。

 

(2) 組織

 

ブダペシュト首都地方自治体の構造は、図表11のようにまとめることができる。

都庁は、都議会議長である都知事および副知事の下にあるが、実際の業務の統括者は、事務総長およびその代理・補助者である事務次長である。

都議会は、議会決定の原案作成および決定実施の組織・監督を目的として、以下の13の委員会を設立している(カッコ内はそれぞれの委員会の下にある専門委員会):財政(予算・税制)、都市計画・都市景観保全(都市景観保全)、商務・観光・消費者利益保護(観光)、公共財(公共サーヴィス・民営化、不動産、公職処理・民営化)、文化、教育(青年)、人権・宗教、保健・スポーツ(スポーツ)、社会政策・住宅(市民組織)、環境保全・都市運営(都市運営)、法律・行政、職業政策、公安・都市秩序。

首都行政の執行組織である都庁は、28の部局を有する。以下にその名称を、主要な業務内容と共に列挙しておく。

税務局:地方税に関連する事務

投資・公共資産局:公共資産法による事務の調整、首都における各機関の発展に関する事務およびその計画作成・修正

保健局:20の病院、中央消化器研究所、首都統一孤児院の運営

経済・補給局:首都地方自治体およびその規定上の各単位の機能に必要な目

 

 

 

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