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の互選によって決定されていたが、選挙法改正によって、1994年の選挙からは、18歳以上の男女を有権者とする普通選挙によって直接に選出されることとなった。任期は4年である。首長選挙への立候補には、その住民数に応じた一定数の推薦人が必要とされる。これに対して、県の首長は、県議会議員の互選によって決定される。また、いずれの場合も、議員の互選によって副首長を設けることもできる。副首長は、首長の代理および補助という機能を果たす。

議会が、首長と対立した場合、対立の原因が首長の違法な行動にある際には、首長の職務終了に関する決議を定員の過半数によって可決した上に、所轄の普通裁判所に提訴することができ、また同時に、職務停止を求めることができる(地方自治法第33条/B(1))。他方、首長は、一度に限って再度の議会審議を要求する権利を有している(第35条(3))。

地方議会議員は、任期4年であり、普通選挙によって選出される。議会定員は、住民の多寡にしたがって、最小3人から最大27人となり(地方選挙法第8条・第9条)、またブダペシュトの都議会については別途の規定がある(第43条〜第45条)。

形式上、首長が、地方行政に関する業務・権限を有するが、実質的な統括者は、事務長(首都および県においては事務総長)である。首長は、事務長に対する指導・監督を通じて地方行政を行うのである。事務長は、法定の資格を有する候補者の中から公募によって選任され、通常は首長事務局(地方自治法上は、議会事務局と称されている)として設立された役所の実務を指導する(地方自治法第36条(1)・(2))。事務長の任期はとくに定められることはない。また、報酬は、一般職員とは別途に定められる。

事務長については、事務次長・特別市の区長と共に、一般職員よりも厳しい法定資格が、学歴と経験に関して定められている。具体的には、前科がなく行動の法的制約のないハンガリー市民であることを前提として、以下が要求される。

□事務長・事務次長・特別市の区長:

a)公務員養成教育機関によって付与される行政組織者の資格または法律・憲法博士号の所有者であり、かつ

b)2年以上の専門的経験を有する者(公務員法第8条(1))。

また、5,000人以下の小規模な町村については、a)に関する例外として、行政組織者資格または博士号取得中にある者は、取得に要する通常期間を越えない期間において、事務長となる資格を有することになっており、また専門的経験の期間の縮減・免除も可能である(同条(2))。ただし、通常期間内に取得に失敗した場合、事務長として地位を喪失する。

 

 

 

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