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(ウ) 地方自治にかかわる事例

 

同じように、構成主体の法令の合憲性審査ではあるが、構成主体とは憲法上の位置づけも異なる地方自治に関連する事件もいくつか扱われている。後にそのそれぞれについて詳しく検討してみたいが、とりあえず列挙しておけば次のようである。

? 連邦地方自治法(1995.8.28)58条1号、59条2項の合憲性審査事件判決(1996.5.30)

? ウドムルト共和国における国家権力機関の体系についての法律(1996.4.17)の合憲性審査事件判決(1997.1.24)

? 連邦地方自治法(1995.8.28)49条の合憲性審査事件判決(1997.10.16)

? トゥーラ州の申立てによる、憲法上の地方自治機関を選挙し、この機関に選挙される権利の保障に関する連邦の法律(1996.11.26)2条の合憲性審査事件判決

 

(エ) その他

 

その他にも、地方制度や地方自治の確立にかかわりのある問題で、以上のような区分にはなじまない事例もいくつかある。以下に列挙するように、その多くは、構成主体や地方自治体の立法や政策が、連邦の憲法や法律、とりわけ国内市場の形成(人や物の移動の自由の保障)と抵触する事例や、地方独自の財源確保の施策が法の下の平等に反する事例として扱われたものである。後に、移住してきた市民の住民登録手数料徴収と居住・移転の自由にかかわる事件については簡単に紹介することとする。

? クラスノヤールスク地方ジェレズノゴールスク市の原子力産業の構造的再建および変更に対する国家的支援に関する大統領令(1995.1.25)の合憲性審査事件判決(1995.6.9)

? チェチニャ(チェチェン)共和国における憲法上の適法性および法秩序の回復措置に関する大統領令(1994.11.30)および同共和国における武装部隊組織の禁止に関する大統領令(1994.12.9)の合憲性審査事件判決(1995.7.31)

? 当該地域に定住のために移住してきた市民の登録手続を規制するモスクワ市、モスクワ州、スタヴロポリ地方、ヴォロネジ州およびヴォロネジ市の一連の規範的アクトの合憲性審査事件判決(1996.4.4)

? ロシアの執行権力の単一の体系の強化措置に関する大統領令(1994.10.3)2項および地方・州等の行政長官に関する規程2、3項の合憲性審査事件判決(1996.4.30)

 

 

 

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