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(5)管理段階のまとめ

 

ア 新首都地域の地方自治制度について、国の直轄市とすることについては、住民参加の行政運営の流れや住民自治の原則を考慮すると、難しいのではないかとの意見があった。

また、新首都、国会都市と周辺のクラスターを含めて60万都市とし、県と同格で、県の管轄外となる一層制の地方自治制度とするのが適当ではないかとする意見があったが、他の地域との均衡を考えればなお二層制の維持もあり得るという意見もあった。

 

イ 首都機能の移転は、圏域内の地域構造に大きな変容をもたらし、移転先の地方行政機構についても、生まれ変わる圏域にお、さわしい形態に改編していくことが求められる。

この課題に対応するために、新首都の地域を統合し、統一的機能を持つ都市とする方向で制度を検討することが必要である。

この点については、我が国の首都の沿革、国民感情並びに行政機能の一体性確保の点から、一国の首都の行政機構として、市町村合併が行われることが望ましいとする意見が大勢を占めた。

 

ウ 新首都の地方行財政サービスの供給責任については、行財政サービスを首都機能に係る部分と普通の都市機能に係る部分に分けて考える必要がある。首都機能に係る部分は、国が責任を負い、普通の都市機能に係る部分は地元の地方公共団体が責任を負うことが原則であるが新首都建設という特殊性等にかんがみ国の積極的な役割が期待されるところである。

なお、重要なのは、計画段階での役割分担を厳密にしておくことであり、その結果いずれが実施し、責任を負うかにしても、財政的裏付などを十分に行い、実効性ある制度をつくっておくことが必要である。

 

工 新首都の地方財政制度については、新首都が国有施設中心の都市となることなどのために、新首都の市町村は固有の税財源に乏しく、逼迫した財政運営が予想される。その上新首都として様々な財政需要が発生し、例えば人口の急増が予想される。そこで、首都地域の財政に対して既存の財政措置で対応できるのか否か、さらに、首都としての顔の面でどの程度の財政需要が必要となるのかなどについての検討が必要である。

これらの積み上げをし、財源不足額のシミュレーションを行い、その結果として、的確な財源付与をしなければならないとする意見があった。

 

 

 

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